表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
麗子様は好き勝手に生きてやる!  作者: 古芭白あきら
第4章 中等部のみぎり

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

123/129

第123話 麗子様は念願のズッ友を得る。

 この夏休み、私は塾に通っている。


 これも全て悪役お嬢様を脱却すべく、良好な成績を収めるためだ。なんせマンガの清涼院麗子はチート能力を生かしきれず成績が振るわない問題児やったからな。


 我は品行方正な優等生お嬢様として、みなの尊敬を一身に集めるぞい。


 だから、決して友達が欲しいとか、彼氏ができちゃうかもなんて邪な気持ちはないぞ。我は純粋に勉学に励むためにここへ来ておるのじゃ。


 さあ、今日も勉強、勉強。


「あら、あそこにおられるのは……」


 先日の日々矢学園の眼鏡っ子ではありませんか。ここは是が非でも挨拶に行かねば。これはあくまでもTPOをわきまえた行動よ。なんせ我の前世はアラサー会社員やったからな。


 決してあの子と友達になりたいなぁ、なんて思ってないんだからね。


「こんにちは」

「はい、こんにち――ひっ!?」


 振り返った眼鏡子ちゃんが急に顔を引き攣らせたけど。どうしたん?


「あなた、えーと……」


 ……あれ? この子の名前なんだっけ?

 まさか、眼鏡っ子とかじゃないわよね?


「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい!」


 ガタガタ震えて真っ青になってるわ。体調が悪いのかしら。麗子、とっても心配。


 はいはい、分かってるわよ。


 ふーんだ。どーせ、私が恐がられてるんでしょ。


「お邪魔のようですわね」


 それではごきげんようって退散したら、眼鏡子ちゃんがあからさまに安堵しとるのが見えた。


 うーむ、すっかり怯えられてしまっとる。


 ホントは仲良くなりたいんだけどなぁ。せっかくカントリームシューのキャラまみれ買ってきたのに。


 これはしっとりサックリのカントリームシューをキャラメルコーティングした期間限定品よ。彼女ならこれで釣れ……じゃなかった、気に入ってくれると思ったのよね。


 仕方ない。眼鏡子ちゃんの隣に座るのは断念。これ以上、恐がられてもねぇ。


 さて、どこに座ろうかしら――って、どうしてみんな目を逸らす!


「何をやってるのよ」


 席を探してボッチ難民になってたら、桔梗ちゃんから手を掴まれた。


 わーん、桔梗ちゃん、心の友よ。


 ストーカー気質の桔梗ちゃんでも、こんなボッチ難民を受け入れてくれるなら素直に嬉しい。


 桔梗ちゃん、これからズッ友だよ。


「さあ、行くわよ」

「えっ、行くって、いったいどちらに?」


 ちょっと桔梗ちゃん、そんなにグイグイ引っ張らないでぇ。


 いったい私をどこへ連れて行くつもり?


 はっ、そう言えば!?


 聖浄学園は先輩を『お姉様』と呼ぶ(なら)わしのある百合系お嬢様神学校。桔梗ちゃんはそこの生徒だったわ。


 ってことは……桔梗ちゃん、私と友達以上の関係を望んでいたのね。


 でもでも、私にはソッチの気はないのよ。普通に男子にときめくノーマルなのよ。私の想い人はお兄様だけなのよ。


 あゝ、でもでも、桔梗ちゃんみたいな超美少女だったらありかも。こうやって私も禁断の花園に染まっていくのね。


「ほら、清涼院さんはそっち側に座って」

「「えっ!?」」


 私と日々矢の眼鏡子ちゃんの声が重なる。


 そう、桔梗ちゃんに連行された場所は秘密の花園ではなく、日々矢の眼鏡子ちゃんの席。


 眼鏡子ちゃんの目が私達を見て大きく見開かれた。「なぜここに?」と顔が驚きと絶望に染まってる。


 そんな命乞いするような目で見ないで。

 私にも何がなんだか分かんないのよぉ。


「ど、ど、どういうことですの?」


 まさか、私だけじゃなくて眼鏡子ちゃんまで!?


 それって、三人百合ですか?


 ダメよ、ダメダメ。百合はとっても尊いの。

 二人の絆をしっかり結ばないといけないわ。


 それなのに桔梗ちゃんったら、私と眼鏡子ちゃん二人纏めて手篭めにしようなんて。


「あなた、最近ずっと彼女のこと気にしてたじゃない」


 んっ、そんな素振り見せてた?


「友達になりたかったんでしょ」

「い、いえ、決してそのようなことは……」

「バレバレなのよ」


 えっ、そんなに分かりやすかったですか?


「それなのにウジウジして、見ててイライラするのよ。こういうのはガーッと勢いで行けばいいのよ」

「あのぉ、私は神宮寺様のようには……」

「そうやって、もだもだしてたって仲良くなれないわよ」


 そりゃそうかもだけどさー。我は桔梗ちゃんのような猪突猛進タイプじゃないねん。とっても奥ゆかしいねん。


「まったく、清涼院さんって私がついてないとダメね」


 もしかして、眼鏡子ちゃんとの仲を取り持ってくれるの?


「あなた日々矢学園の神薙(かんなぎ)(すみれ)さんよね?」

「な、なぜ私の名前を!?」


 眼鏡子ちゃんの名前は菫ちゃんっていうのかぁ。ふむふむ、綺麗で可愛い名前じゃ。眼鏡子ちゃんにピッタリ。


 だけど桔梗ちゃん……もしかして、私のためにわざわざリサーチしてくれたの?


 なんか桔梗ちゃんって、私のこと良く見てるし、けっこうお節介するし……ねぇ、桔梗ちゃん、ホントは私のこと好きでしょ?


「それじゃあ、私はこっちに座るから」

「ど、ど、どうして私が真ん中!?」


 私と桔梗ちゃんに挟まれ、菫ちゃんがオタオタする。ちょっと可哀想だけど許してね。


 あっ、お近づきの印にカントリームシューのキャラまみれ食べる?


 あらあら、菫ちゃんの目がパァッと輝いたわ。渡したらリスみたいにちょこちょこ食べ始めちゃった。ふふっ、「あま〜い」って幸せそうな笑顔しちゃって。


 さっきまで死にそうな顔してたのにね。


「これからよろしくお願いしますわ、神薙菫さん」

「えっ!?」


 今さらそんな悲壮な顔しても遅いねん。

 それ食べたからにはもう離しまへんでぇ。


 んばば!きょうからお前も友達だ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ