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麗子様は好き勝手に生きてやる!  作者: 古芭白あきら
第4章 中等部のみぎり

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第100話 麗子様は天使ちゃん二号と出会う。


 ——水面ちゃんの誕生日当日。


「わあ! 麗子お姉様、ホントにいらしてくださったんですね」


 玄関で天使ちゃんが破顔して私を出迎えてくれた。


 魔王や堕天使が巣食う伏魔殿(パンデモニウム)である早見邸へお伺いするのは抵抗があったが、天使ちゃんが私を待っていると思えば行くしかあるまい。


「麗子お姉様のお召し物、とっても素敵です」

「まあ、ありがとう」


 せやろう、せやろう。


 本日の私は後ろ髪をシニヨンにして薄紫のベルデットワンピースに身を包んだ、ちょい大人なコーデ。水面ちゃんも大人っぽい私に瞳をキラキラさせておるわ。ほれほれもっとお姉様と崇め奉ってもいいのよ。


「ふふふ、水面ちゃんもお姫様みたいでとっても可愛いですわよ」

「ありがとうございます」


 水面ちゃん照れとる照れとる。かーいーなぁ。


 水面ちゃんの服は薄いピンクのチュチュ。スカートがふわっふわで、とってもラブリー。天使の輪っかと背中に翼を付けたらまさに天使ちゃん。眼福、眼福。


 おめでとうってプレゼントを渡したらキャッキャッと喜ばれた。何にしようか迷ったけど、私が選択したのは薄いピンクの蝶々みたいなリボン。


 水面ちゃんは日本有数の大企業のご令嬢。だけどまだ小学一年生。見るからに高価な物は情操教育上よくないと思うし、かと言って天下の清涼院家が安物を贈るわけにもいかない。


 そこで見つけたのがこのリボン。可愛いし、センスいいし、実はブランド物でお高いし、だけど一見して引くような高額品には見えないし。各種ポイント掴んだ一品だ。


 水面ちゃんもカワイーカワイーと大はしゃぎしておるわ。喜んでもらえて余は大満足じゃ。


「水面ちゃん、その人だーれ?」


 マイエンジェルを愛でてたら、奥からもう一人トテトテと天使ちゃん二号が現れた!


 クリクリしたお目々にちょっとくせっ毛だけどふわふわの髪。水面ちゃんに負けず劣らずの美幼女じゃないの。


「あっ、マコちゃん」

「遅いから心配で見に来たんだ」

「ごめーん」


 きゃっきゃっと二人の天使の戯れよ。いやーん、ナニコレ可愛すぎるぅ。これはぜひお近づきにならねば。


「こんにちは、私は清涼院麗子と申します」

「えっ、清涼院麗子!…さま?」


 ん? マコちゃんの驚きよう。私を知ってる?


「そうなの、()()清涼院麗子お姉様よ」


 なんか水面ちゃんがドヤってるけど……「あの」って何?

 また変な噂が流れているんじゃないでしょうね?


「あ、あの、常々おじい様とお姉様にお噂は聞いています」

「おじい様とお姉様?」

「はい、二人とも麗子様の大ファンなんです」


 はて? こんな可愛い天使ちゃん二号の親族ならさぞかし美形なんだろうけど……いったい誰?


 いやいや、考えてみれば悪人顔のタヌパパンから私のような美少女も生まれるわけだし、そうとも限らんか。


 誰! お前の悪人顔は父親にくりそつだろうって言ったの!


「えーと、みんなからは久条のゴローコーって呼ばれてます」


 ゴローコー?……ってご老公!?


 なんと! ローちゃんのお孫さん!?


「もしやお姉様というのはもしや久条美咲様ですの?」

「はい、美咲お姉様は従姉なんです」


 うげっ! つまり天使ちゃん二号は滝川とも親戚ってことか。


 天使ちゃん一号の兄は腹黒堕天使だし、天使ちゃん二号の親戚は魔王ときたもんだ。どうやら天国と地獄は密接に繋がっているらしい。


 くっ、このままでは私の天使ちゃん達が魔の手に堕ちちまう。それだけは絶対阻止せねば。


「麗子お姉様、みんながお待ちかねです」


 くいくいっと水面ちゃんが私の手を引いた。

 あゝ、天使ちゃん一号の手ちっちゃいなぁ。


「さあ、料理も冷めてしまいますから早く早く」

「あっ、水面ちゃんだけずるい」


 マコちゃんも対抗心を燃やして左手を握ってきた。


 両手に天使ちゃん。こっちこっちと二人の天使ちゃんに手を引かれて連れられて行く場所は天国かしら?


 そして、連れられるまま入った居間で私はとんでもない光景に遭遇した。


「あっ、水面ちゃん」

「そのおねーさん誰?」

「お姫様?」


 ハレルヤ!


 なんてこと。天使ちゃんの群れよ。特に最後の子、私のことお姫様だなんて、もうもう、良く分かってらっしゃる。


 ここは天国か。


「やあ、いらっしゃい、清涼院さん」

「遅かったな、清涼院」


 伏魔殿だった。


「これは早見様に滝川様、ごきげんよう」


 ちっ、当たり前だがこいつらもいたか。早見と滝川め、我が天国に土足で踏み入りおって。


「水面の為に来てくれてありがとう」

「いえいえ、水面ちゃんは私にとっても可愛い妹みたいなものですから」


 だから水面ちゃんをおくれ。って言外に仄めかしたら早見のやつ笑顔のまま「あげないよ」だって。これだからシスコンは。


「いらっしゃい麗子さん」

「よく来てくれたね」


 早見とばちばち目で牽制しあってたら、奥から見目麗しき夫婦が出てきた。早見夫妻だ。やっぱ早見と早見ママは似てるな。早見め女装に目覚めればいいのに。


「本日はお招き頂き誠にありがとうございます」


 こんな天使ちゃんの集いにお呼ばれされる機会などそうそうないからの。我、顔が恐いって親族の小さい子達にも滅多に合わせてくれんのじゃ。


「お久しぶりね」

「滝川家の七夕以来だね」

「ご無沙汰しております」


 その節はご助力ありがとうございました。ホント助かったよ。織姫コスで辱められた上に危うく滝川と婚約させられるとこやったからな。


「あれからもう四年経つのかな?」

「こんなに綺麗になって」

「いやいや、麗子君はあの時から可愛かったよ」

「ふふ、そうね、麗子さんはとっても美人さんだから」


 いやん、もう、二人ともお上手なんだからぁ。超イケオジの腐ァザーと優しげな美貌の早見ママに言われると悪い気がしないわね。おーほっほっほ。


「おじ様とおば様もお変わりなく素敵ですわ」

「麗子君に褒めてもらえるとお世辞でも嬉しいね」

「お世辞なんかではありませんわ。特におば様は以前お会いした時よりもずっと若くお綺麗になっておられますもの」

「もう、こんなおばさんを捕まえて揶揄わないで」


 早見ママが顔をほんのり赤くして照れてる。イヤン、可愛い。


「そんなそんな、先程はどこの新婚カップルが紛れ込んだのかと勘違いしそうになりましたもの」


 実際、二人の子供がいるとは思えないほど若々しいし、何と言っても線の細い美形なのだ二人とも。恐らく一番少女マンガの両親っぽい。まるで天使様が並んでいるようだ。水面ちゃんはこの二人の遺伝子を濃く受け継いだのね。


 まっ、それは早見も同じなんだが、ヤツは外見より中身を遺伝して欲しかった。なぜ真っ白な天使一家に真っ黒な堕天使が混ざっとる?


「まあ、麗子さんったらお上手ね」

「私の口からは本心しか出てきませんわ」


 我の口はとっても素直なんじゃ。


「ふふ、清涼院の奥様も幸せね。麗子さんみたいな素敵な娘に恵まれて」

「水面ちゃんもおば様のような素敵なお母様で幸せだと思いますわ」


 こんな母親なら水面ちゃんも自慢したくなるやろ。


「あら、それなら麗子さんも私の娘にならない?」

「はい?」

「うふふ、瑞樹と結婚すれば母娘になれるわ」

「まあ素敵、そしたら麗子お姉様が本当のお姉様になるのね」


 やべっ、水面ちゃんまで参戦してきやがった。そんな期待に満ちたキラキラした目を向けないでぇ。


「いっその事、おば様じゃなくてお母様と呼んでも構わないわよ?」

「……謹んでご遠慮いたしますわ」

「あらあら、瑞樹フラれてしまったわね」


 おば様にくすくす笑われた早見が苦虫を百匹くらい噛み潰したような顔をしとる。


「ねぇ清涼院さん、さすがにそこまで露骨に嫌そうな顔をされると傷つくよ」


 仕方あるまい。我は顔もとっても素直なんじゃ。


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― 新着の感想 ―
通常「ホントに来てくださったんですね!」といわれたら 「社交辞令で言っただけなのに、真に受けちゃってやあねえ」という意味なはずですが(当社脳内調べ) 天使ちゃんがそんなことを言うはずが無いことは、文脈…
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