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純然たる驕傲編 第十話

著者:雪路よだか 様(ココナラ

企画・原案:mirai(mirama)

「ジュウ様、レイ様。ご覧ください。これだけの者がコウ様の処刑を望んでおります。どうかご決断を」

屈曲な男が差し出した石版を見たとき、ジュウはいよいよこの時が来たか、と思った。

石版には石で多数の名前が彫られており、名前の下には血判が押されていた。思ったより名前の数が多いとレイは思う。七割、いや八割の民が、コウの処刑に同意している。

コウの傲慢さは、日に日に度を増していた。民を見下し、嘲り、自身が得た富は一切分け与えようとしなかった。物乞いをする片腕のない子どもを見ても、唾を吐き捨てる始末だった。

民主主義を掲げる以上、ここまで民の声が強いとあらば、ジュウとレイも無視をするわけにはいかない。しばらく悩んだ後、ジュウが重い口を開いた。

「みんなの気持ちはよく分かった。ただ俺は、処刑、という手段は取りたくない。そこで、集落から追放するというのではどうだろう」

「生ぬるいのではないですか」

間髪入れず、屈強な男が口を挟む。

「また集落に戻ってくるかもしれない」

「そのようなことにはならないよう、警備を徹底する。約束する。どうかこれで手を打ってはくれないか。レイも俺と同じ考えだ」

レイが頷く。屈強な男はしばらく唸っていたが、やがて渋々といった様子で頷いた。

「お二人がそう仰るなら」





コウの説得は、やはりというべきか、一筋縄ではいかなかった。

「どうして僕が出ていかないとならない。ここは僕の場所だ。気に入らないなら、お前たちが出ていけ」

「そういうわけにはいかない。もうここはあなたの場所ではなくなってしまった」

ジュウとレイはもう、コウに敬語は使わなかった。民たちから強く反発されたためである。

「じゃあ誰の場所だと言うんだ。お前たちの場所だとは言わないだろうな」

「まさか。ここは皆の場所だ。それぞれが助け合って暮らしている」

「僕は一人でも生きていける」

「そう思えるのは健康なうちだけです。病にかかったら? 歳をとって体力がなくなったら? あなた一人でどうするのだ」

「僕はそんな間抜けなことにはならない」

コウは譲らない。三人の間に沈黙が流れる。

ふと、レイがため息をついて、コウに石版を見せた。

「これを見てくれ。あなたの処刑を望む人が集落の中にこんなにいる。追放を受け入れられないのでは、処刑する他ない」

「処刑だって? 冗談じゃない!」

「それなら、出ていってくれ。これが一番、穏便にすむ方法なんだ」

大勢の民たちから敵意を向けられていることを改めて自覚したコウは、黙るほかなくなってしまった。

こうしてコウは、己の庭だったはずの集落から、自分をかつて慕っていた人間たちの意思により追い出されることになったのだった。

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