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プロローグ ホムラの名
目線「ホムラ」
カガリとホムラは母親が違う。
名家に生まれた二人だが、その家では、母親が違うなどという事はよくあった。
力関係はカガリの母親の方が強く、ホムラの母親は、ホムラを生んだ後その家を去った。
ホムラは、物心つく頃からそのことを知っていた。
それは、彼女を育てたのが母親ではなく、使用人と呼ばれる者達であったからだ。
そんなホムラは、跡継ぎとして英才教育を施されていたカガリとは違い、のんびりと育てられてきた。
使用人が母親かわりをしていて、父親の存在はないにも等しい環境だったが、大人たちはホムラを可愛がり、普通の子供と変わらないように育てたのだった。
そんなホムラが母親の残した手紙を読んだのは、10歳の頃。
物心が十分につき、自分で考える力もついたと判断されたため、使用人から渡されたのだ。
その手紙には、全てを導く焔の光のような人になってほしいという願いで、名前を付けたと書かれていた。
母親の真意は分からないままで。そこに書かれていたのはわずかな文章だけ。
それでもホムラは、母親の願い通りに、せめて全てではなくとも周りの人間を導ける光になりたいと思っていた。




