プロローグ ペルカメモ
目線「ペルカ」 場所「赤の城」
自らが管理する城の一室。
執務室にいた王女ペルカは、一枚分の紙を書きあげた。
それは簡素なもので、重要な書類ではなかった。
ただ単に、思考を整理するために書かれたものだ。
執務机の上にある種類はしっかりとした字体で書かれている。
しかし、一部分がヘタであった。
だから、あまり人には見せたくないものだった。
ペルカはメモが苦手だ。
立場上書類仕事はこなせるが、メモとなるとなぜか内容が稚拙になってしまうのだった。
ペルカは悩んでいたが、それはおそらくそう簡単には改善しないものだった。
訓練してもまったくなおらなかった。
ペルカは推測する。
休憩中までシャキッとする必要はない。
そういった考えが、無意識に働いているためだと。
召喚勇者リスト
〇十話子 (とわこ)
観察眼に優れている。よく人を見ている。
炎の魔法を操る。
〇カガリ
兄弟の兄の方。女好きである。
リーダーシップを発揮して、同郷の者達をまとめている。
剣を使った近距離戦闘が得意。
〇ホノカ
兄弟の妹の方。しっかり者でありカガリの補佐をしている。飛び道具などでも中距離戦闘が得意。
〇シズ
治癒魔法が得意である。第六感に優れている。心優しく、困っている人を放っておけないらしい。ネズの親友。
〇ネズ
おそらく魔法の才能人である。眠ったまま、目覚める気配がない。
〇山田
雑学というモノと、ライトノベルというモノに詳しいらしい。どちらも耳慣れない言葉だ。
〇芳美 (よしみ)
山田少年の近くにいる女子。特に目立つところはない。なぜ、あの微妙な少年の近くにいるのだろう。
〇房枝 (ふさえ)
山田少年の近くにいる女子。特に目立つところはない。以下省略。
執務室に人がやってきた。
それは、ペルカに仕事の報告をしにきた兵士だった。
その兵士が、うっかりしまい忘れたメモの存在に気付く。
「あの王女様、メモの隣に書かれている文字は? どこの国の言語でしょう、解読ができなくて……」
ペルカは、勝手に読まないでと兵士を睨み付ける。
「それは顔です」
「えっ」
「顔です」
「しっ、失礼しました!」
メモの文字の横には、似顔絵が書かれているのだが、兵士にはそうは見えなかったらしい。
ペルカは、慌てる兵士に頬を膨らませる。
そしてツンとした態度で罰を言いつけた。
「ご飯を抜きの罰にしてもらうように、厨房に言っておきますね。金輪際、人のメモを勝手に見ないように」
そう言って、花が咲くような笑みで兵士に笑いかけた。