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おそるおそる

作者: 清水漱平

ピンポン。そういえば外で待ち合わせとか、あんまりない。おれが迎えにいく。でもそれでよかったと思う。安全だし。なあ。

梅雨明けしたってさ


知ってる



だからっていうわけじゃないんですけど


静かだね




セミが鳴いてる


そよぐ葉こすれて


静かだよ




いちおうお断りしておきますが


むりです


むりです


むりですからね



いちおう頑張った


つもり


これ以上もう


むりです


むりです


むりだよ






ってなってる


ちょっと視界不良みたいで


どこにいるのかわからないけど


目指す大陸あらわれるだろう?


いまは浪もまれて踊らされて


あわあわ




って言っても


ここんとこ眠れずに


きみのことばかり考えてたんだ


やさしくするよ


いつもと逆に


たいせつにする


ひいちゃうくらい


ああ なのに

 

そんな


そんな


そんなのってないよ


あんまりさ


美しい姿勢で浴衣のきみを


そっと脱がせるわけがない


いとおしく思うばかりで


あらあらしくなれない


きっとなんにもできやしない




ぜんぶあきらめたときだった


(大丈夫、安心して、わたし、できるようにしてきたから)


星の輝きは雲に隠されて


よく見れないまま素肌は香り


自然で不自然なのに自然だ


ふたりの服は砂のうえ




せわしなく打ち寄せる


はしゃいでみたいのに


黙り込んだ


踊る神が企むのは新世界


ていうより元の世界


星の輝きに蜘蛛が引き下がる


よく見れる位置で素肌の香り


おそるおそるおそるおそる


ふれる



おそるおそるおそるおそる


ふれる




こわいことばかり


こわいものばかり


そのうちまひして


平気な顔







来た道 もどる


いくさきざきへ


忘れ物ない?


なにもはいてない



きもちよくなれる


きもちいいふたり


そのうちまひして


しらんぷりさ



飽きることなんて


あるわけないし


おそるおそるおそるおそる


ふれる



おそるおそるおそるおそる


ふれる

夏祭りの高揚感は特別すぎるので、元に戻れるか心配になっちゃったりもしたけれど。大丈夫でした。元に戻れたし、元通りだし、なにくわぬ顔で送り届けて「じゃあね」ってバイバイできた。じゃあね、また。だけどすぐまた翌日いや翌々日まあ翌々翌日とかじゃなくても夏のうちに、また会いたいし会いたくて理由さがして理由こじつけてピンポンおしたのさ。あっというまに過ぎ去った夏なのに、いつまでもよみがえり続ける。どこまで追いかけてくるのか、たんなる伴奏だとしても、ときどき妙に気になって動きを止めて聴き入ってしまってる。なつかしい歌、流行の歌、とは違っていたかもだけど、自分にとっては最高の歌。

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