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5.4回目の告白

(今度はいつ来るんだ?)


 ラブレターの彼女と別れた当日。

 放課後の誰もいない教室で、俺は何をするでもなくぼんやりと椅子に座って外を眺めていた。

 これまでの経験からして、俺の予想では、そろそろ現れるころではないかと思っていた。

 のかも、しれない。

 と。

 予想通り。

 すごい勢いで近づいてくる足音。

 続いて、教室の扉が開け放たれる音。


「見つけたわよ、高宮 漣!」


 見事、予想的中。


「来たな、おチビちゃん。待ってたぜ」


 俺の言葉が意外だったのか、教室の入り口で立ち止まったまま、おチビちゃんは目をパチクリさせている。


「どうした?俺を口説きに来たんじゃないのか?」


 クルクルとよく変わるおチビちゃんの顔が面白くて、俺は自ら彼女に歩み寄った。


「そっ、そうよ!当然でしょっ!」


 小さい体を思い切りふんぞり返らせて、おチビちゃんは俺を落とす気満々だ。

 どうしてだろう。

 しつこくされるのは苦手なはずなのに、おチビちゃんに関しては全く不快感が無い。

 それどころか、心待ちにしていたような気さえする。

 ……というのは、言い過ぎじゃなかろうか、俺。


「あなた、今度こそ絶対、フリーよね?!」

「あぁ」


(相変わらず、情報早ぇな)


 もはや驚きもしなくなっている自分に、苦笑が漏れる。


「じゃあ、私と付き合って」


 自信満々な、彼女の顔。

 いつもの如く、断られる想定はしていないに違いない。


「いいよ」

「……ええっ?!」


 今度は、受け入れられる想定をしていなかったのか。

 びっくり顔で、おチビちゃんは素っ頓狂な声を上げた。

 これが他の女子からの告白なら、俺はいつも通りすんなり受け入れていただろう。

 だが、なぜだかわからないが、俺はつい、言ってしまっていた。


「俺にキスできたら、付き合ってやる」


 と。

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