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13.おチビちゃんの挑戦その3-1

「リベンジよ、高宮 漣!」


 おチビちゃんからそう高らかに宣言され、俺は指定された日時に再びみつばち公園へと足を運んだ。

 10分前には着いたのだが、前回同様、既におチビちゃんは到着していて、余裕の笑みで俺を待ち構えていた。


「おはよ、おチビちゃん。今日も早いな」

「いい加減ひとの名前を覚えなさいよ、高宮 漣。私の名前は」

「今日は捻挫はしなさそうだな」


 何はともあれ、真っ先におチビちゃんの足元を確認し、俺はホッと胸を撫で下ろす。

 正直なところ、またあんな厚底シューズなんか履いて来られたらどうしようかと、気が気ではなかったのだ。


「失礼ね、同じ過ちは繰り返さないわよ。馬鹿じゃないんだから」


 何故かどや顔のおチビちゃん。

 なんだその顔は。

 よくもそんな事が言えたもんだな。


「どの口が言ってんだ。何回チャンス逃してるんだよ、お前」

「……ふんっ!」


 最近分かってきたことだが、おチビちゃんは言い返せなくなると必ず『ふんっ!』を発動する。

 悔しそうな顔と、セットで。

 そんな顔を見るのがなんだか楽しくなってきている、今日この頃。

 ……どうした、俺。疲れているのか?


「さ、行くわよ」


 そう言って、おチビちゃんはさっさと歩き出す。


「向こうの花壇が全体的に見頃だそうよ」

「みたいだな」


 どうやら、おチビちゃんも下調べをしてきたらしい。

 昨日もなかなか眠れなかった俺は、やはり前回同様、スマホであらかじめ調べておいたのだ。

 別に、おチビちゃんのためではない。彼女のリベンジを受けて立つ、俺自身のためだ。


 少し歩くと、遠くに目指す花壇が見えてきた。


「あ~、あれだけ咲いてると、結構見応えあるな」

「えっ?どこ?」

「ほら、向こう」

「え?全然見えないけど」


 まったく話が噛み合わない。

 それもそのはず。

 おチビちゃんの目線からでは、まだ遠くの花壇までは見えないからだ。

 ふと近くの花壇に目をつけ、俺はおチビちゃんに提案してみた。


「そこ、乗ってみれば?」

「……そうね。たまにはいいこと言うじゃない」


 花壇の高さは目算で30センチほど。ちょうど、おチビちゃんと俺の身長差くらいだ。

 手を貸しておチビちゃんを花壇の縁に上らせる。

 と。


「わぁ……ほんと、きれい!」


 おチビちゃんは子供みたいな無邪気な笑顔を見せた。


「見えただろ?」

「うん」


 俺のすぐ隣に、おチビちゃんの顔がある。

 なんだか、馴れない距離感が、妙に落ち着かない。

 そんな俺にはお構いなく、おチビちゃんは感心したように言った。


「あなたはいつも、こんな景色を見ているのねぇ」

「まぁ、な」

「いいなぁ」


 背が低いことにコンプレックスでも感じているのだろうか。

 溜め息混じりにそう呟いて、おチビちゃんは花壇の縁から飛び降りた。

 ……飛び降りて、しまった。

 って、なんで俺は残念な気分になってるんだ?


「さ、行くわよ」


 意気揚々と歩き始めるおチビちゃんに、俺は呆れて声を掛けた。

「お前……ほんとにやる気ある?」

「えっ?……あっ!」


 言われてようやく気づいたのか、おチビちゃんは自力でもう一度花壇の縁に上った。

 が、俺は花壇から距離をおいて歩き出した。


「ちょっとっ!少しは協力しなさいよ、高宮 漣!」


 少し後ろから聞こえるチビすけの声は、この際無視していいだろう。

 だって、俺。


(既にすげー協力してると思うんだけど……)

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