表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/26

1.条件提示

「俺にキスできたら、付き合ってやる」


 まだ肩で息をしているおチビちゃんが、あんぐりと口を開ける。


「そう簡単にできると思うなよ?」


 固まったままのおチビちゃんの肩を、激励がてらポンと軽くたたき、俺はそのままおチビちゃんを置いて教室を出る。

 昇降口で靴を履き替えていると、聞き覚えのある足音が、すごい勢いで近づいてきて。


「待ちなさいっ、高宮 漣!」


 振り返った場所には、おチビちゃんが肩で息をしながら、仁王立ちで俺を見ていた。


「さっきの言葉、信じていいのねっ?!」

「もちろん

「男の二言は、許さないわよっ!」


 怒った顔で俺を睨み付けながらも、どこか不安げな目。


「ああ」


 頷くと、とたんに挑戦的な笑顔を向けてくる。


「首を洗って待っていなさい、高宮 漣。キスくらい、すぐにしてやるからっ!」

「言っとくけど」


 言いながらおチビちゃんに背を向けて下駄箱に上履きを入れ、再度向き直る。

 その身長差、約30センチ。


「どこでもいいわけじゃ、ないからな?」

「えっ?」


 警戒するように眉根を寄せるおチビちゃんに、俺は言った。


「決まってるだろ。マウス トゥ マウス、」

「なっ……!」


 絶句するおチビちゃんをその場に放置して、俺は家路に着いた。

 どういう訳か、遠足前夜の小学生のように心が浮き足立っている。

 こんなことは久々だった。


(俺、もしかしてあいつのこと、好きなのか?)


 ふとそんなことも考えたが。


(いやいや、無い。無いだろ、絶対)


 すぐさま全否定する俺もいて。


(あいつ、どう出てくるかな)

 それでもやはり、これからおチビちゃんが取るであろう行動を想像すると、楽しみで仕方がなかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ