創作活動
あれ? 別に、頼まれても期待されてもいないのに、どうしてこんなに一生懸命頭を捻ってるんだろう?
私は、我に返って顔をしかめ、「うーーん」と唸って、手のひらでこめかみを押さえる。
んん? このポーズなんか小説家っぽい。
なかなかこれ、小説家っぽくないか?
試しにスマホで画像検索してみる。
文豪 写真 検索っと!
あったあった。
微妙にみんな手を当てる位置が違う。
こめかみもあるけど、頬だったり、顎だったり……
あっ、そもそも手は当ててない写真も多いんだな。
ふーーん。
てか、私のこのポーズって……
手鏡を見ながら、こめかみに手を当てて、ぎこちないウインクをしながら舌を出す。
これ、テヘペロだ。
あーー、文豪じゃなかったわ。
ゔゔ、ゴホン。
気を取り直して……
短編小説のアイデアをーー
はて?
短編小説って、そもそもどれくらいの長さを言うんだろう?
試しにスマホで検索してみる。
短編 小説 検索っと!
ええっ?
ウィキペ○ィアによると、原稿用紙、最低10枚!?
場合によっては、それでも短編とは言わず掌編小説?
てか、これって書く人なら知ってて常識?
うーーん。
掌編か。
掌ね。
じっと手を見る。
我が暮らし楽にならざり? だっけ? そんなんあったな。
そーだよねぇ。
私の手相ってなんか貧相だもん。
暮らしが楽になりそうもないわぁ。
ゔゔ、ゴホン。
気を取り直して……
小説、小説を書くのよ!
おお?
なんか、良いアイデアが湧いてきた!
とりあえず書き出してみよう。
書く? スマホでフリック入力するだけって楽だなぁ。
原稿用紙に手書きなら、こんなに積極的に書けないよ。
投稿もこんなに気軽にできるんだもん。ハードル低くて良いわぁ。
ハードルか。
苦手だったわぁ。
手と足が一緒に出ちゃう感じでさ。
ゔゔ、ゴホン。
気を取り直して……
ふぁーーぁ。ま、いっか。
眠たくなってきた。
おっと、いかん、いかん。
冷蔵庫からレモンチューハイを取り出し、プルトップを開ける。
寝不足の身体には、度数5パーセントのアルコールですらよく廻る。
こんなの余計に寝てしまうわ!
こんな風に、全く前に進まない創作活動なのである。
誰にも頼まれてないけども。