第23話 変な一団ふたたび
(アイオン視点)
訳がわからない。
僕は頭を抱えた。
ティアラが何を望んでいるのかわからない。
エマ姫はスライシアに来た翌日から学校に通い始めた。
ライアン元王子はエマ姫をスライシア城に残し、昨日ガンダルンに帰って行った。
だから、エマ姫は常時ピンクの髪の護衛騎士を連れている。
あのガンダルン王都で男に襲われた時、エマ姫はメイドを連れていたらしい。
メイドは自分では賊に敵わないと、人を呼びに行ったのだか、エマ姫には自分を置いてそのメイドが逃げた様に感じたらしい。
以降、執事業務もこなせるそのマーロンと言う騎士を側に置くようにしたらしい。
マーロンは騎士だがガンダルン人ではないようだ、ユリオック人に多いピンクの髪に柔和で地味な印象の男だ。
なぜこの人選なのかは甚だ疑問だか、彼は体の大きいガンダルン人程に目立たず、年も同じくらいなのでスライシアの学校に居ても違和感がない。
だか、そもそもスライシアではあまり護衛やメイドを学校では側に置かない。
エマ姫はマーロンを連れて歩いて悪目立ちしたく無かったのだろう、マーロンも学校の生徒として扱った。
つまり、僕、ティアラ、オスカー、マリア、エマ、マーロンと6人で行動する事が増えたのだ。
ぞろぞろ移動するのが鬱陶しい。
そもそも、いま僕はティアラと婚約ができたことが嬉しくて、ただただティアラを愛でたくてしょうがないのだ。
今まで対外的にはオスカーの婚約者だからと我慢していたのだから。
しかし……エマ姫に婚約を解消されるのは困るので、エマ姫の目の無いところにティアラを連れて逃げたい。
だが、エマ姫はできるだけ僕と一緒に居ようとする。
まぁ、それは仕方ないだろう。
僕はこれから一生2人を平等に愛していかないといけないのだ。
それは婚約者の義務だ。
だから、この3人だけなら分かるんだ。
ギリギリ許容範囲だ。
ところが、ティアラは僕と2人になる事をことごとく拒否するのだ。
むしろエマ姫から離れない、その上どうもマーロンが気になるらしいのだ!
何でこの桃色髪の地味な男を、婚約者の僕が目の前に居るのに気にする必要があるのか?
さらにマリア嬢までもがこのマーロンという男が気になるらしい。
マーロンのどこがそんなにいいと言うんだ?!
オスカーもその状況に気づいているのだろう……マリア嬢を繋ぎ止めようと必死だ。




