第20話 ガンダルン王城
エマ姫を見て驚いて僕は言葉を失った。
そして、琴梨さんが僕の事を紹介したのだ。
「スライシアのアイオン王子。エマの婚約者のオスカー王子のお兄さんなんだよ~」
確かに僕は彼女の婚約者の兄だ。
訪問してもあまり違和感無かったのかもしれない。
しばらくはふつうに会話をしていた。
だがしかし、途中でエマ姫が席を外した。
そして、なぜかエマ姫の父であるガンダルン次期国王のエリスワース王子と母である聖女が現れて、エマ姫と僕は婚約をすることになってた。
もともと兄王子である僕がエマ姫の婚約者の予定だったから、問題ないだろうと2人は笑顔でいった。
琴梨さんはにこにこしながら言った。
「良かったね」
琴梨さんの都合があり、そんなに長くは滞在しなかった。
そして、予想外の展開に僕はただただ微笑んで返事をしていただけだ。
エマ姫の父であるエリスワース王子は琴梨さんが言って居たように、明らかにスライシアの血だと分かる金髪に美しい顔だ。
「エマ姫はオスカーをとても気に入っていたと聞いたのですが、本当に僕でいいんですか?」
僕がエマ姫にたずねると、エマ姫は顔を赤らめてはい。と答えた。
可愛らしい……。
だがしかし! なぜだ?!
僕は黒髪のせいもあるが地味に見えるはずだ。
エリスワース王子やオスカーに比べると、見劣りするだろう。
そしてエマ姫はふふふっと可愛く笑って言ったのだ。
「今日助けて頂いたのも理由のひとつなのですが、アイオン王子は憧れの人にちょっと似てるんです。」
そして憧れの人とは、琴梨さんの夫の『ライアン王子』だった……。
琴梨さんはえーっ! と言った。
「えっ?似てる?髪の色と目の色は一緒だけど……目つきの悪さ?」
目つきの悪さって……まったくほめられてないからね?
ライアン王子はエマ姫が『魔物の森』に魔物を狩る訓練にでる時の指導役を務めているらしい。
「ライアン師団長は強くて一番かっこいい騎士です!」
エマが言うと、琴梨さんは夫を誉められて照れている。
だけど、それはライアン王子が素晴らしいのであって僕は関係ないよね?
そう思っていたら、エリスワース王子が言ったんだ。
僕の母であるアメリアが昔ライアン王子と婚約してたと。
「そうなんですか?知りませんでした」
僕は本当に知らなかった。
だから、そこまでは僕も笑顔で答えられた。
「そして、ライアン王子よりエリスワース王子が良いとアメリア姫が言って、私と婚約していた事もあるんですよ」
僕は青くなった。
何やってるの!? 母さん!
兄王子より弟王子がいいとわがままを言うなんて……なんてことしてくれたんだ!
「そして、アメリア姫は私との婚約を断って、スライシアのルーカス王子と結婚したんだよね」
すごく爽やかな微笑みでエリスワース王子にそう言われた時には、僕は何も言えなくなっていた。
僕の母が自由人過ぎてすみません。
本当にすみません。
「だからエマがオスカー王子ではなく、君を選んでもいいよね?」
着地点はそこなんだ。
エリスワース王子の爽やかな笑顔がこわい。
これは絶対断われる人間はいない。
そして、琴梨さんがお店があるから帰らなきゃ!と言ったのだ。
「アイオン王子はせっかくガンダルンまで来たのだから、しばらく城に泊まっていけばいいよ」
エリスワース王子に勧められた。
「学校があるのでスライシアに戻らないといけないんです。御会いできて嬉しかったです」
僕は固辞して、社交辞令を述べながら退城した。




