第12話 パンケーキ
そして、私は気がついたのだ!
私がマリアちゃんとお友達になればいいのだと!
そうすると、オスカーとマリアちゃんの恋愛を近くで応援できるし、『王妃教育が完璧な私』がマリアちゃんにアドバイスもできるのよ!
完璧だわ!
何で今までオスカー単品にしか目がいかなかったんだろう!
私はご機嫌になって、パンケーキを食べた。
甘くてふあっとしていて……。
なにこれ!!
「すごく美味しい!」
今まで食べた物の中で一番美味しいものだった。
私が夢中で食べていると、アイオンが1切れフォークに指して私の方に差し出して言ったのだ。
「僕のも美味しいよ?」
ずきゅーん!
あまりのかっこよさと、その行動に私は赤くなった。
私がどきどきして、わたわたしてるとアイオンは食べないの?っと首を傾げる。
そんな仕草も私の心臓に直撃デス。
私は差し出されたパンケーキの欠片におそるおそる口を近づけると、はむっとくわえてもぐもぐする。
その様子をとろけそうな笑顔で眺めてるアイオン……。
あぁすごく幸せだわ!
「じゃあ俺たちは帰るからっ」
パンケーキを食べ終わったのか、隣のテーブルにいた、オスカーとマリアちゃんが席をたった。
あっ! また私はオスカーとマリアちゃんの事を忘れてたわ!
「私、マリアちゃんとお友達になりたい!」
「「「はぁ?!」」」
三人はすごく驚いた。
それはそうだよね……今までいじめ倒してた悪役令嬢が突然『お友達』なのだ。
「えっと、今までのお詫びに、マリアちゃんが王妃になるのを応援したいの」
私はしどろもどろ言った。
「気持ちだけで……じゃあね」
オスカーはあっさりマリアちゃんを連れて店を出ていってしまった。




