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投稿始めなので更新していきます。
……時代は、今から遥か古の時代、すなわち人類と云う名の存在が誕生する更に前まで遡る。
銀河系の中に、ただただぽつりと孤高に存在したまっさらで清らかな大地を持つ白き惑星、
……否、
その当時、永劫世界と称せられた〝オルテガ〟には、大いなる力をその御身に宿した四源神と呼ばれる神々とその神々と共に在りし六人の属性神が存在していた。
だがある日のこと、その四源神の中でも強大な力を誇り、また六人の属性神を従える清らかで尊き存在〝始聖神ラピシュティム〟と云う名の女神は、一つの決意を下した。
それはこの純粋無垢なるこの惑星を土台に、理想の世界を創造するというもの。
……言わば、世界の創造であった。
四源神と神々が各々描いていた楽園を今ここに実現することが出来る。そんな夢のような提案に陶酔した神々は始聖神の意見に賛同し、それぞれの力を一つに結集させて、大地に
一つは沢山の生命の灯火を、
一つは世界を司る光と闇なる存在を、
一つは大地に力強く根付く緑豊かなる自然を、
一つは生命が生きてゆける広大な大地を、
そして最後に、蒼く澄んだ母なる海と全てを映し出す鏡のような蒼穹を世界の根底として此処に創造した。
そしてこの世界を構成する元素を各々、始聖神が従えていた六人の属性神が司る【炎/水/風/地/光/闇】の六つの元属性と定めた。
初めの炎・水・風・地の四属性は、世界の根底を構成する【基本属性物質】。
そして残った光と闇の二属性は、その基本属性物質が集合して出来た陽と陰とを兼ね備える特殊な物質【複合属性物質】。
それと同時に、始聖神は属性神が司る属性を象った【属性種族】を合計六種誕生させると、海に浮かぶ広大な一つの大地の各地に置いたのだった。
いずれも六種族は、地上の大地で、常日頃から発展と探求を求め生きる炎の加護を得た種族【陸の民(人族)】と、母なる海をこの上なく愛し、人なる姿と魚なる姿と両方の姿を併せ持つ水の加護を得た種族【水の民(流水族)】。
そして青々と生い茂る緑豊かな自然と長年の時と共に生き続け、ありとあらゆる知識を知り尽くした風の加護を得た種族【迅風の民(エルフ族)】。
山岳や鉱石に恵まれた山脈地帯を好み、開拓精神の名の下、自身の技術と大地から学んだ知識を駆使し、大地の声に耳を傾けながら静かに暮らす土の加護を得た種族【大地の民(ドワーフ族)】。
穢れのない蒼き空に住まい、背には神の遣えとして与えられた純白の翼を携える光の加護を得た聖なる種族【天空人(天族)】。
闇を好み、他の種族とは異なった異次元に住み、背には冥王の遣えとして与えられた黒き翼を携える闇の加護を得た神秘の種族【地底人(魔族)】。
いずれの種族も互いに抑制と均衡を図り、平和に共存して暮らせるようにという配慮の下、長い時が過ぎ去っていった。
……そしてその夢のような世界の創造から長い年月を隔てた後、始聖神を始めとした神々は、美しく変貌を遂げた大地を見守り続けていた。
全ては何の弊害もなく進んでいた。世界の均衡は上手い具合で保たれ、互いに共存し合いながら力強く生きている。
それぞれ異なる種族達も互いの存在を尊重し、時には互いの手を取り合って毎日を平和に過ごしている。
それは四源神と他の神々が毎日思い描いて止まなかった理想の絵図だった。
かつて〝其れ等〟が住んでいた完全な平和に包まれた理想郷とも云える楽園そのもので。
だがこの時
始聖神も他の神々も、禍々しい心に蝕まれていく彼の存在に全く気付きはしなかった。創造の力を秘める始聖神とは全く逆の、終焉の力を秘める四源神の内の一人、〝暗黒神ヴァイス〟の存在に。
暗黒神は、ある日突然オルテガの大地とその大地に住まう人の子らに干渉を持つと、自らの邪で満ち溢れた氣と〝邪種〟を撒き散らせ、世界を徐々に深淵の闇で侵蝕し始めたのだった。
邪種とは、あらゆる生命の心に憎しみ・恨み・嫉妬といった負の感情を止めどなく湧き上がらせる禁界にしか存在しない危険な魔の種。
神々の間では、忌むべき物として恐れ伝えられるものであった。
暗黒神はいつしか邪に呑み込まれ、邪に身を委ね、〝邪神〟となって世界を壊し始めたのだった。
その愚かなる行為に、始聖神は嘆き悲しみ、他の神々もその裏切りに酷く落胆した。