第二話「巫女と少年」
山道を歩いて祠に向かうアレンと弓美。
それぞれがそれぞれの近況を報告する中でアレンは自分の目的について語る。
本庄 弓美、彼女は今アレンが向かっている祠の管理を担当している、町の神社の巫女で、彼女の父は
神社の神主である。
彼女は祠の掃除をしに来ていたのだ。
落ち葉の積もる11月の山道を祠を目指して他愛のない話をしているうちにいつしか話題はお互いの近況報告へ。
「弓美は最近どうしてるんだ?」
アレンが聞くと。
「お父さんの手伝いをしながら祠の管理をしているの、それと巫女として地域の祭事の際には参加してたりしてるわ。」
さっきの子供っぽさからは打って変わって大人の雰囲気を漂わせる弓美を見てすこし驚いていると。
「アレンはどうなの?」
弓美がこちらを見上げ、首をかしげながら話しかけてきた。
信じてもらえるわけがないと思ったが、アレンは祖父が遺した手紙のこと、自分の青い目のこと、
「異界」のこと、そしてその謎を解こうとしていることを告げ、祖父の次の手がかりが祠にあることもつたえた。
「ふ~ん…」
弓美は少しそっぽを向いたのをみてアレンは、
「信じられないと思うけど、変人だと思うなよ!」
と言うと、
「信じるよ!その話!」
驚きの一言が返ってきた、
「マジ!?」
アレンが驚いた表情で聞くと、
「だってアレンが嘘つくときはわかるもん!」
得意げにそう話した。
そんな話をしているうちに祠に着いた。
立派な木の根元の洞の中に作られた小さな祠には神酒の瓶が光っていた。
「さて、お掃除始めるよ!」
「ここにあの人の手がかりが…」
二人はそれぞれの目的を遂行した。
すこし西日が差したころ、弓美は祠の掃除を終えた。
「よ~し、これで終了!」
そうして弓美が肩を伸ばしているころ、アレンは興味深いものを見つけていた、祠のある洞の中にほんのりと金属光沢を放つものがあったのだ。
「ちょっとごめん。」
アレンは弓美に断って祠の前に立つとその金属光沢を放つものに触れると、それが板であることに気が付きそれを引き抜いた。
「何それ?」
そう答える弓美をしり目にアレンは板を調べ始めた。
その板には細い糸がつながっており、アレンはそれを伝って洞のある丁度反対側へ来た糸の先は地面に埋まっていた。
糸を引いても抜けないところを見ると、相当深くまで埋まっているようだった。
「…掘るか…。」
「何かあるの?」
「第二の手がかりは、おそらくこいつだ。」
アレンは多少苦戦しながらも糸の先のものを掘り出した。
土や泥を落とすと、それはアンティーク調の装飾が施された真鍮製の箱だった。
アレンはカバンから、鍵とペンとインクを取り出すと地面に並べ、ポケットから鍵を取り出すと、その箱を開けた。
いかがだったでしょうか?
前回にいただいたコメントを踏まえ少々一話の方も修正いたしました。
次回の投稿は一月二十一日の予定です。