碧眼と名前の謎
序章「異界への道」
少年が大好きだった祖父からのものという手紙を父から渡されたのは中学生最後の夏のことだった。
手紙の最初の文はこうだった。
「私は異界で生きている。」
少年の名はアレン・SK・フォスターイギリス人の祖父を持つ、英系三世で彼の家であるフォスター家には不思議な伝承がある、
それは初代フォスターは不思議な力を使い、空間を自由に行き来したり、
異形の化け物を従えていたというものだった、そしてアレンの祖父レイモンド・SK・フォスター、この三人にはある共通点がある。
それは三人とも目が碧眼、つまりは綺麗な青色であり、名前にSKと付くことだ。
このことを父から聞いたアレンは、こう決心した。
「この家の秘密を解き明かそう、異界にいる祖父なら何か知っているはずだ。」
三年後
少年は祖父のいる「異界」の情報を集めていたが一向に有力な情報は得られず、嘘か本当かもわからない情報が集まるばかりだった。
そんなある日祖父の屋敷を売却するために、掃除をすることにした、様々な遺品が出てくる中、
一つ、本棚に気になるタイトルの古びた本が置かれていた。
その本のタイトルは「The law of the other world(異界の掟)」というものだった。
アレンは、図書室に誰もいないことを確認して、その本を手に取った。
本の見開きを開くと黄金色に輝く、小さな鍵と一通の羊用紙でできた手紙が入っていた。
手紙を見開くと「インクをたらせ」ただそう書いているだけだった。
アレンは手紙のとうりに書斎の机に向かい羽ペンでインクを一滴たらした。
するとじわりじわりと羊用紙の上に文字が浮かび上がり、文章が現れた。
―――アレンへ―――
よくやった、お前がこの手紙の封印を解いたことで、
私が現世に遺した異界への手がかりが記されていく。
いいかアレン、お前も異界に来るんだ、手順は私の遺した物が教えるだろう。
一緒に本に入っていた鍵は、とある箱のカギだ、その箱は裏山の頂上、大きな楠の下にある祠の中だ。
箱を手に入れたらその中のものの封印を解くんだ、私の部屋のインクと羽ペンを持っていけ。
追伸この手紙はお前がすべて読み終わったときに発火する、注意しろよ。
――レイモンド・SK・フォスター――
「発火!?」
思わず叫んで手紙を落としてしまった、すると手紙はみるみるうちに消えてなくなっていった。
「裏山かぁ…」
そうと決まれば即行動だ、アレンは家族に出かけることを告げるとフィクファーの上着に袖を通して屋敷を出た。
裏山を目指して歩いていると、後ろから聞き覚えのある声がした。
「ねぇねぇ、アレン!」
ふと振り返ると、そこには長い髪を後ろでまとめた小柄な少女が走ってきた。
彼女は本庄 弓美、アレンが祖父の家に出入りしていた時、幼馴染として共に過ごした。
「弓美か・・・。」
軽く会釈をしてそのまま歩き始めると、昔と比べ少し大人びた声でこう言った。
「祠に行きたいの?」
「あぁ、そうだ。」
空返事を返すと。
「私も行くわ。」
そう言ってアレンの少し後ろを歩き始めた。