呪詛08
***
ルミタート暦 107年7月4日
クラウスと喧嘩してから三日が立つ。
あれから森へは行っていない。
むしろ、忙しくて行けなかった。
外は暗く、たった今、舞踏会の開会式が終わった所だ
「あっ、ウィリアム」
貴族の数名の女性と話している大人びたウィリアムを見かけ、ルミネは声をかけた。
「ルミネ」
女性に挨拶をしていたウィリアムはルミネに近付く。
「しばらく見ないうちに大人っぽくなったな」
ウィリアムは微笑む。
珍しく悪態をつかないウィリアムに一瞬、胸が高鳴る。
「まっ、ブスではなく、豚だな。豚」
前言撤回、やはりウィリアムはちょっとした悪態を言う。
一瞬でもときめいたルミネはため息をした。
あまりにもときめいた自分が馬鹿らしくて
「言っていることが無茶苦茶よ。しかも豚とは、喧嘩売ってる?」
「うん、喧嘩売ってる」
ウィリアムは笑いながらルミネを上から下まで見ている。
ルミネの服装は白のベルラインのドレス。
スカートのシルエットが教会の釣り鐘のような形をしている。
髪型は後ろで1つにまとめ上げたポニーテール。
横髪はわざと出していて髪の先をパーマがかけられている。
大人っぽく、可愛くしたつもりが馬鹿にされてしまった。
「変わらないわね、ウィリアムは」
通りかかったメイドにワイングラスを受け取ると、赤いワインを一口ルミネは飲んだ。
「お前も変わんないな」
お互いに笑い合う。
初対面であんな失言を繰り返した仲だ。




