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死神13
あの時、どんな挨拶でどんな笑顔を向けていたのか全く思い出せないけれど‥‥
初めて感じたドキドキ感は覚えていた。
これが恋だと言うのならば‥‥言葉は必要あるのだろうか?
これがもしも、本当の恋心だとするのならば‥‥
ー私は‥‥心の内に止めるしか出来ないのよ‥‥
薔薇の香りが鼻腔をくすぐり、風で花びらが舞う。
回された腕をお互いにゆっくり放し、カイトは笑みを浮かべる
「変な顔」
「!?お、おおきなお世話よ。」
ルミネの額に軽めにデコピンを浴びせたカイトは背を翻した。
「カイ‥‥」
カイトは振り向くがすぐに前を向いて歩き出した。
なにをしに来たのか全くわからないが、ルミネの手のひらにはいつの間にか握っていたのかわからない白い薔薇の花びら。
放すとその花びらは風に揺れ、空高く舞って、どこかに飛んで行ってしまった。
恋とは複雑なものでなかなか上手くいけない。
病気の1種とも例え、自分の心を揺さぶる。
でも、どうなのだろうか?
こんなにもドキドキと心臓が鳴っているのに思い出す顔は決まって狼なんだ。




