赤ずきんと狼04
「俺、年下に敬語で話す趣味ないし.. .. ガキに敬語を使うなんてありえない」
「どんな趣味よ。それにあんただってまだ子供じゃ.. 」
カイトは何かを察したのか、ルミネの近くまで来て身体を引き寄せる。
カイトの胸に顔を埋めたルミネは一瞬、何が起こったのかわからない。
数秒遅れに窓ガラスが割れる音が部屋中に響く。
「意外に速かったな。さすが暗殺のプロだけある」
「なに.. .. ?」
ルミネは窓を見るとそこには黒ずくめの男が四人はいた。
レース付きの透明なカーテンが割れたガラスから風とともに煽られる。
ガラスの破片を踏みながら中に入る男たちを見て、ルミネは顔を強張らせる。
「カイト.. .. アルティスト」
男の一人が冷酷で、でも怒気が混ざった声でカイトの名前を呼ぶ。
「死ね!!!!」
男は地を強く蹴り、短剣でカイトに向かって斬りかかる。
勿論、カイトに抱き締められているルミネも命の危機な訳で.. ..
「カイ!!?」
「あれ?ルミネも遊びたいの?」
「ちが.. .. .. 、何でそうなるのよ」
カイトの顔を見上げればそれはもう、嬉しそうに笑っている。
あの顔は楽しい遊び道具を見つけたような無邪気な顔。
ルミネがそんなカイトに呆れていると、男の剣を弾きながらルミネを担ぎ上げる。
「ちょっ.. .. 、はなし.. .. 」
「わっと、暴れるなよ。落とす」
「落としていいわよ。てか、下ろして!!!?」
じたばたと暴れるルミネを必死に支えてうろたえるカイト。
「下ろしてもいいけどさ、死ぬよ?」
「.. .. .. .. 」
はっと我に返ったルミネは鋭く光る刃を見て青ざめた。