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婚約者14
「カイ?」
「‥‥っ。大切なんて作るものじゃない‥‥お前は優しいんだな」
「‥‥え?」
カイトは少し切なそうにすると話を切り替えた。
「お前がそんなこと言うって変な感じだな。雪でも降るんじゃねーの?」
「なっ!?失礼なこと言わないでよ!!まるで私が傲慢みたいじゃん!」
「あっれー?違った?」
カイトはルミネの顔をのぞき込む。ルミネは頬を膨らませてうつむく。その顔はとても火照っていた。
「ルミネ」
「え?」
名前を呼ばれ、上を向くと白くて冷たいものが頬に当たる。それは次から次へと舞い降りてくる。
それは‥‥羽のようで‥‥だけど桜の花びらのようでとても儚くて虚しい。
「雪‥‥」
「本当に降ったな」
いつの間にか森から出ていた2人は街の灯りを見つめ、同時に銀世界に変わろうとしていた風景を見ていた。
ーおかしい‥‥なんで‥‥こんなにも‥‥
はじめて喧嘩して、不安になって怖くなって‥‥本当の思いを伝えたら‥‥不思議と楽になった‥‥
彼を失うのがこんなにも怖いなんて‥‥思わなかった。だからこそ、向き合いたいと‥‥気付けたんだ。




