婚約者13
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ゆらゆらと‥‥とても心地よい。
フクロウの鳴き声も、バタバタと羽ばたく鳥達の翼の音も‥‥草木が揺れる葉音も、とてもとても心地よく心に染み渡る。
ぼーっと瞳を開ければ暗い木々の間から差し込む木漏れ日に照らされて目を細め、ルミネを見つめるその瞳には一体何を想っているのだろうか?
「カイ‥‥??」
薄暗い森もあってはっきりとしない視界に戸惑いながらも名前をつぶやくとうっすらと笑ったようなきがした。
「‥‥やぁ‥‥おはよう。ルミネ」
「‥‥おは‥‥よう‥‥」
いつも通りのカイトに戸惑いを隠せないルミネは口篭る。
しばらくの間、黙る2人の間に冷たい風が流れる。
先に口を開いたのはルミネだった。
「どうして‥‥ここだとわかったの?」
「ん〜?俺はお前のSSだからな」
「ふ〜ん‥‥ねぇ、狼いなかった?」
「狼?知らねぇな。」
「そっか‥‥」
ほっと胸を撫で下ろすルミネを見て不敵な笑みを浮かべた。
「なんだよ。ルミネって狼好きだったか?」
「はぁ!?なに馬鹿なこと聞いてんのよ‥‥」
カイトの茶化すような態度に苛立ちを覚えつつ。ルミネはぼーっと上を見ていた。時々月明かりに照らされるカイトに胸を高鳴らせ、懐かしいような‥‥とても久しぶりすぎてどうしていいのかわからない。
「カイ‥‥」
「ん?」
「‥‥私はSSの仕事を理解なんてできない。ましてや‥‥人の気持ちなんて考えたこともなかったの」
ルミネはカイトの腕の中で懺悔のように言い放つとカイトは黙ってその話に耳を傾ける。
「私には友達と呼べる人なんて数えるぐらいしかいない。それが本当に友達なのかもわからない。でもね‥‥でも‥‥今日、思ったことがある。私は無力で‥‥辛いことがあると誰かに気持ちを押し付けることしかできないけど‥‥大切な人を‥‥傷付けたくないよ‥‥」
ギュッと目頭が熱くなり、ツーっと頬を伝う透明な雫。それはあまりにも綺麗で思わず言葉を忘れて見惚れてしまうぐらいだ。




