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婚約者11

***


どれぐらいたったのだろう。日は沈み、あたりは暗く、だけど月の光に照らされ漆黒の闇という訳では無い。


膝の上で頭をあずけ、すやすやと規則正しい吐息をして眠っているルミネをどうしようかクラウスは考えていた。


「ルミネ?」


優しく声をかけ、髪に触れる。閉じた瞳から雫が垂れようとしているからそれを指ですくうと深いため息をした。


「‥‥‥‥‥‥」


手は瞳から首筋に移った。


いっそのこと‥‥苦しむぐらいなら‥‥

俺の手で殺したい‥‥


そういう歪んが感情が彼の心を支配していく。

大きな手はルミネの首を掴むと‥‥力を入れようとしたその時だった。

刹那の如く、鋭い刃がクラウスの頬をかすめる。かすった切り傷からは血が零れる。


「悪いね。狼さん‥‥ルミネは俺が殺すんだ。」

「‥‥‥‥そうか。ルミネが言っていたSSはあんたか」


剣を近付けて威嚇しても動じないクラウスは振り向いた。カイトはクスリと笑って剣をしまう。


「狼さんに忠告だ。ルミネは俺が殺す。誰にも触れさせない‥‥汚させない。汚していいのは俺だけだ。いじめていいのもね」

「独占欲強いのはこのことだな。あんたが誰かに執着するのを見るのははじめてだ」

「そうだっけ?」

「ルミネは返してもらうよ。」


カイトは眠っているルミネをそっとお姫様抱っこして持ち上げる。

壊れ物を扱うようにする仕草があまりにも珍しくてクラウスは声に出してしまった。


「‥‥変わるもんだな」

「ん??」

「お前‥‥あの頃よりもいい顔してる」


フクロウの鳴き声が聞こえ、同時に草木が揺れる。


「それはどうも‥‥」

「俺からも忠告だ。死神。お前がいじめるなら俺はルミネに優しくする。俺がルミネの心の支えになる」

「お前が‥‥?」


背を翻して歩き出した足を止め、振り返るその瞳は月の光を浴びて怪しく光った。


「お前には無理だろ。余計にあいつを苦しめる。」

「そうさせたのはお前だろ。情報や銃まで揃えやがって」

「バレてたか‥‥終わったことはいいだろ。王女はその日に死ぬ予定だったんだ。実行して何が悪い」










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