赤ずきんと狼02
「あの.. .. ルミネお嬢様、私.. .. 」
ルミネは戸惑い気味のメイドを見て唇を動かした時、扉の向こうからすざましい音と悲鳴が聞こえた。
嫌がらせのように廊下を滑るぐらいまで磨くからだ。
「私はなにも見ていなかった。ただ、遊んでいただけ」
澄ました顔でルミネが言うと、メイドは明るい口調でお礼を言う。コロコロと変わるメイドの表情を見てクスリと笑った。
「今度は気を付けるのよ」
「はい!!!!」
見逃したことがよっぽど嬉しいのか、とても弾んだ声。
「知らないフリをして混ざって来なさい。じゃないと怒られるよ」
「はい!!」
メイドはルミネにお辞儀をした後、客室を出る。
メイドが扉を閉めるのを見届けたルミネはため息をしてすぐ近くの二人掛けのラブシートに腰をおろす
ラブシートの両側には愛くるしいけどの犬と猫のぬいぐるみが置いてある。
ルミネが座っている向かい側には猫脚のテーブルを挟み、ラブシートが置かれている。
テーブルはオシャレなテーブルクロスがかけられ、白と赤にそれとオレンジ色の造花が飾られている。
窓側を見ると、二人用のベットがある。
ルミネは何気なくベットの横の棚に近付きアンティークバニラ色のインテリアミラーに映りだされた自分の姿を見る。
ルミネの瞳にはしっかりと鏡を通して自分が映っている。
丁寧に手入れされたショートカットのブロンドの髪。
純粋そうな水色の瞳。桃色のショートラインのドレスがとても可愛らしく、明るく見える。
ルミネは鏡を手に取るとそれを思いっきり地面に叩きつける。鏡は音を立て、割れたがきっと廊下にいるメイドたちには気付かない。
今は廊下の方が鏡が割れる音よりも数十倍うるさいのだから.. ..