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婚約者03
たどり着いたそこは、いつものようなのに‥‥開けるのがとても怖い‥‥
それでも勇気を振り絞ってルミネは扉を開ける。
開くと‥‥いつもいるはずの人がそこに居なくて、優しく微笑んで名前を呼んでくれる暖かな声が届かなくて‥‥こんなにも天気の良くて暖かいというのにとても冷えきっているように感じて冷たくて‥‥痛くて‥‥
ガクガクな足でベットに近づく。皺が一切無い白いシーツに顔を埋める。
いつも感じてた薔薇の匂いが一切ない。
認めたくない。認めたくない現実がルミネの心を壊していく。
このままいっそのこと‥‥【死んでしまおう】と、そんなことを思ってしまうぐらいだ。
壊れかけのマリオネットは元に戻すことはとても難しい。それは人も同じことだろう。
「お母様‥‥どうして‥‥」
こんなこと‥‥こんなことって‥‥信じない‥‥信じたくない。
「あっ、いけません。ルミネ様」
背後でメイドの声が聞こえる。
近寄って肩を掴む彼女の手を払ってルミネはメイドを睨む。ぼやけてよく見えないメイドは歪んでいてもはや人ではなかった。‥‥人じゃないなにかに思えてとても怖かった。




