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婚約者02
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ルミタート暦 100年10月7日
朝の日差しで静かに目を覚ましたルミネは重たい身体をゆっくりと起こす。
昨日はどうしてたのか全く記憶にない‥‥
それでも胸の奥に突き刺さる針のようなチクチクとした痛みのせいで涙が止まることはない。
「お母様‥‥」
赤く染まった白い薔薇はきっと悪夢を見ていたのだと思いたくて、ベットから下りるとふらふらな足取りで母親の寝室へと向かう。
朝早いのもあって廊下には誰もいない。1人の息が荒く、壁に手をつきながら一歩一歩を必死に歩いているルミネの姿がいた。
嘘だと言って欲しい‥‥こんなのなにかの悪い夢だと。
扉を開ければ、優しく包み込んでくれるんだと‥‥思いたいのに不安で不安で身が裂けそうなほど心の奥がとても痛い。
何もない床でバランスを崩したルミネは顔面ごと転んだ。
顔がとても痛くても‥‥起き上がることがとても辛くてもどんなに涙を流しても、前を向いて、左腕を前に続いて右腕を前にだして、這いつくばるように‥‥
必死にもがくように寝室へと向かう。
彼女の心はただ一心の想い。
信じたくない現実を必死にかき乱そうとしている‥‥




