婚約者
***
ルミタート暦 100年10月6日
ふらふら....ふらふらっと、森に向かったルミネは昨日の雨が嘘だったかのように今日は曇り1つ無い青い空だ。
地面がじめじめしていてとても転びやすい。
視界がぼやける。
あれ....?なんでここにいるんだっけ?
どうして?そんなのわからない。
ただ、クラウスに会いたくて、話したくて....
クラウスの顔が頭から離れなかったのだ。
だから、メイドや兵士の目を盗んでここまで来た。
ふらふら....ゆらゆらと、おぼつかない足取りで獣道を歩いて行く。
つるに足を取られ、倒れそうになったのを誰かが受け止める。
ぼやける視界の中、彼女はクラウスの顔を見て微笑む。
どうしてなのだろう....
さっきまでモヤモヤしていた気持ちが嘘のように晴れやかになる。
ルミネはクラウスの腕の中で気を失った。
「おい!?ルミネ!!?」
ぐったりしているルミネを見て一瞬、慌てたがすぐに呆れてため息をした。
「なんで来るんだよ.....バカ」
クラウスはルミネを抱え、歩き出した。
殺せなかった。
ルミネを殺すことが出来なかった。
憎いのに......恨んでいるのに....
殺せない。
失うと思うと殺せなかった....
「ごめん....ごめんな、ルミネ。」
斬首刑の噂を広めたのはクラウス。
王女を殺したのもまたクラウス。
復讐して、こんなに後悔するなんて思わなかった。
ルミネはなにも悪くないのに、気持ちを追い詰めているのはクラウスだ。
それでも、クラウスはルミネに懺悔は言わない。
今はまだ......、何も知らないままで傍にいて欲しい
聞こえるのは風と歩く音。
ただ、もう一人、木の陰に隠れている少年は二人の姿が見えなくなった時に、姿を現した。
***
「何か.. ..気持ち悪い」
ルミネの泣き顔が見れると思い、銃を撃つのを黙って見ていたカイト。
なのに、どこかつまらなく、とても気持ちが悪い
心も‥‥命も‥‥身体も‥‥全て‥‥手に入れるのはカイトの方だと思っていたのに‥‥
いつの間にか、心が離れてしまっていた。それに気付くのに少し遅かった。
気持ちが悪い‥‥
思わずルミネを殺してしまいそうなぐらい....。
どっちにしろ、ルミネはまだ殺さない
殺すのはまだまだ先‥‥




