運命の歯車12
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ルミタート暦 100年10月5日
風が葉を揺らし、心地よく聞こえる小鳥の声はどこか楽しそうだ。
少し、肌寒い季節。
ルミネは何回もこの、悪魔の森に出入れしていた。
狼に会いに行くために....
「また来たの?よく来るね。」
「来るのはこっちの自由よ 」
この会話も何回目なのだろう。会う度にそう言っている気がする。
大きな木の日陰に座るクラウスの隣にルミネが座る。
「この森は狼が出るんだぜ?」
「狼はあんたでしょ、怖くないわ」
「へぇー、じゃ、今ここで殺すかもしれないのに?」
「出来るなら今ここにはいないわよ。クラウスだって殺す気無いくせに....」
ルミネは寝そべりながら曇り空を見る。
今にも雨が降りそうだ。
「本当、なんで殺せないんだろ....」
クラウスの声はどこか悲しげで、弱々しく今にも消えてしまいそうな声だった
「優しいよね。クラウスは」
その一言にクラウスは驚きの声をあげる。
「何言ってんだよ!?俺は......」
「狼なんでしよ?私、クラウスの事、嫌いじゃないわ。だから、会いに来ているんしゃない。」
起き上がるルミネを見ているクラウスは頬を赤く染めた。
「そ、そう言えば、噂で聞いたんだが、王様、兵士の数名を斬首刑にしたんだって」
スカートについた草を払うとクラウスを見る。
「....そんな噂、私は信じないわ。だって私は見てないもの。罵声を浴びようと、私は否定する」
ー私の父はそんな人じゃないもの
笑いかけるルミネにクラウスは胸を痛める。
「ルミネ....」
「それじゃあ、天気が悪いからもう、帰るわね、またね、クラウス」
「うん、また‥‥」
〝また〝なんて来るのだろうか?親を殺そうとしているのにまた、笑って来てくれるのだろうか‥‥
なんて、そんな迷いを吹っ切ろうと首を左右にふる。
走り去って行くルミネを見届けた後、隠し持っていた銃を取り出す。




