運命の歯車06
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ルミタート暦 100年08月25日
ルミネは寝室の姿見鏡で鏡に映った自分の姿を見る。ネグリジェからエプロンドレスに着替える。髪の毛を櫛で梳く。梳くたびにさらさらな髪がよりさらさらになる。髪の毛を持ち上げ、櫛で梳きながら整える。
最後に髪の毛が崩れないようにゴムで縛る。
身支度が終わったのを見計らったかのようなタイミングでノック音が3回聞こえ、扉越しからメイドの声が聞こえた。
「ルミネ様。お食事の用意が出来ましたが‥‥」
「ああ、今日はいらないわ。先約があるの。」
「はい‥‥かしこまりました」
いらないとはっきり伝えると扉越しでもわかる。がっかりしたようなトーンの低さで言った後、遠ざかる足音が聞こえた。
「クラウスは‥‥なんのご飯食べてるのかしら‥‥」
一般の人、ましてや家を持っていなそうな彼はどうしてるのか気になる。
かなり失礼なことを思っているのにそのことをルミネは気付かない。
扉を開いて廊下を出るといつも見慣れた窓や廊下の至る所に花瓶が置いてあった。中は恐らく造花だろう。色彩の花が添えてあった。
「‥‥‥ねぇ‥」
近くにいたメイドに声をかけたルミネは問いかけた。
「ここにある花瓶って‥‥」
「ああ、綺麗ですよね。女王様のご命令なんです」
やっぱり‥‥
と、ルミネは納得した。
「なにかございましたか?」
「なんでもないわ‥‥そうね‥‥‥しいて言うならその造花に白をたして欲しいわ」
造花はどれも黄色、赤、水色などで白がどの花瓶にもなかった。
ルミネは歩き出した。遠すぎる間際、メイドは深々とお辞儀をした。ルミネは当たり前のようにそのまま通り過ぎる。




