運命の歯車
ルミタート暦 100年8月20日
ノックの音が聞こえ、ルミネは渋々重たい瞳を開く。
「ルミネ様?お食事の時間になりましたが....」
「すぐ行くわ」
上半身を起こし、背伸びをした。
ベットから降りるとドレスに着替える。
白いドレスに水色のレースがとても可愛い。
「........、狼」
身支度しているルミネはこの間の狼少年を思い出した。
「クラウスがあの時の冷酷な狼と同一人物には、思えないけれど」
うむっと、考え込んでいたら再びノック音が聞こえる。
「あの、ルミネ様?」
「今行くわ」
ルミネは息を吐き、部屋を出る。
「自分の部屋で良かったのよ。食事は」
「ダメですよ。王様がお待ちですので」
食事の度にわざわざ移動なんてめんどくさい。
けど、忙しい父と楽しく会話ができるのはその食卓だけなのだ。
1階の一番奥の扉を開けると燭台が長いテーブルの真ん中に何回か別れて置いてある。
「お父様、おはようございます。」
「おはよう」
電球のかわりに置いてある燭台の火がゆらゆらと揺れる。
昼間だと言うのにこの場所だけ夜。
外の光が全く入ってこない。
ルミネはいつも座る所に座った。オルデンと向かい合わせで......
メイドが用意した食べ物を運んでくる。
メニューはリゾット、コンソメスープ、デザートにパンナコッタが並べられる。
お城だからといって、豪華なものではない。
メイドが料理の説明をはじめる。
聞いてもルミネにはまだ難しくてよくわからない。
説明を終えたメイドはその場を離れる。
「お父様」
ルミネはスプーンで一口リゾットを食べるとオルデンを見る。
狼のことを言おうか迷う。
けど、隠してもバレることだ。
「私、狼にあったの」
オルデンは顔色を変え、手に持っていたスプーンが床に落ちる。
「ねぇ、お父様。狼はもういないのよね?なのになんでこの街に狼がいるの?」
詳しくは知らないが、狼は絶滅したと本にも載っている。
「どこで会ったのだ?」
「えっと、街中....です。」
「護衛のモノは?」
「カイが一緒だったけど、はぐれてしまって」
街中というのは嘘。
もしも森だと言ってしまったらもう二度と会えない気がしたからだ。




