真実15
「ノエル‥‥」
「へ‥‥いき‥‥」
咳がおさまると息を整えながら彼女はカイトを見た。いつもと変わらない穏やかな笑みのまま。
それを見たカイトは苛立ちが増した。
「何が‥‥平気だよ」
「カイト?」
「平気なもんか!!お前‥‥死ぬかも知んないんだぞ!俺達が何をしたって言うんだよ‥‥なんで‥‥よりにもよって‥‥お前なんだよ‥‥どうしてお前が‥‥こんな‥‥」
怒気が含んだ声で言うが、その声は必死に怒りを堪えているようにも思える。怒鳴り声ではなく、震えたような‥‥普段話している声よりも若干低めな声だった。
彼女はカイトの頬に触れ、目を細め、顔をのぞき込む。
「‥‥‥‥ねぇ‥‥カイト。もしも‥‥もしもね‥‥生まれ変われるのなら‥‥また、あなたに恋をしたい。運命を呪ってはダメ。ここがハッピーエンドとは限らないんだから‥私は‥‥何度生まれ変わってもあなたに恋をする自身があるわ‥‥」
「‥‥なんだよそれ‥‥それじゃあまるで‥‥」
「私の命は長くないって言われたの‥‥」
カイトは椅子から立ち上がって彼女を見下ろした。
「ふざけんなよ!!そんなの‥‥俺がお前を守る!!どんな手段使っても‥‥俺は‥‥お前を‥‥」
「それはダメ‥‥知ってるはずよ?闇に堕ちてしまった者は‥‥一生闇に生きなくちゃいけないのよ」
「それでもいい!!この世で一番怖いのは‥‥お前を失うことなんだから」
「カイト‥‥」
外からフクロウの声が聞こえてくる。
運命とは‥‥残酷なものなのだと‥‥
ハッピーエンドの間には難問を突きつけられる。それは神様のイタズラなのか‥‥
あるいは‥‥
見放されてしまったのか‥‥
なんにせよ、カイトにとってこれ以上に神様を恨んだことはなかっただろう‥‥




