呪詛20
「私、クラウスの呪いを解きたいの」
真っ直ぐにルミネはクラウスを見る。
ルミネの瞳には混乱したクラウスの顔。
クラウスの瞳には真剣な表情のルミネの顔が映っている。
女王と思えない醜い姿。
髪はボサボサで服は濡れている。
とても女王なんて誰も思わないだろう
「できる筈がない。それに俺は....」
「分かっているよ。憎いんでしょ、クラージュ家の一人として、私はあんたの呪いを解くわ」
「そんなことできる訳がない」
「私は女王よ?出来ないはずがないの」
「俺は.....」
クラウスの瞳から一粒の涙。
いや、もしかしたらそれは雨のせいだったかも知れない。
「何で私を殺さないの?」
「知らない。殺せなかった。」
クラウスにつられるように涙がルミネの頬を伝う。
「父を殺したのは?」
「俺じゃない」
「そっか......」
クラウスは首を左右に振る。
「でも、母を殺したのはクラウスでしょ?」
「......うん。」
「そう、ねぇクラウス。私ね、思ったの。呪いを絶対に解いて見せるわ」
「優しいのはルミネのほうじゃん」
「そう?」
クラウスはからかうような軽い笑みをする。
久しぶりに見た気がする彼の笑い方は懐かしくてついつい笑ってしまう。
だから思ってしまう。
彼が好きなんだなぁと....
「俺なんかに優しくする人はあんただけだよ」
「そうね。そうだったら嬉しい」
ルミネは笑いながら頬を赤く染めて....
童話の赤ずきんみたいなエンディングにはしたくない。
祈るだけでは何も始まらない
何も変わらない
残酷だって罵ったって‥‥運命は変わらないのと一緒。
狼を死なせない。
そう、強く願ったのは今日がはじめてだった




