表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/25

精霊の若木

「こ、これがゲームなのか」


 コロナがまず口にしたのがそれだった。

 VRゲームが初だったコロナにとってその風景は現実だと言われても納得してしまいそうなリアリティがあった。


『我が子よ』


 突然そう呼び掛けられてコロナは辺りを見回した。しかし周りには誰もいない。


『私だ、精霊の子よ。』


 声のする方を見ると大きな木がある。10人が手を回しても全然足りないような大樹だ。


『そう、私だ。巫女に呼ばれし精霊の子よ、この森から抜けたければ私の中に入り[火の証]を手に入れるのだ。』


 そう言うと巨大な木は口にあたる部分を大きく開きコロナが入るのを待った。


「これ俺が証手に入れた後死んじゃったりしない?お前のせいで死んじゃったんだぞってハブられない?」


 そう呟きながら中に入っていくコロナ。内部は想像通りダンジョンのようになっていた。


『よく来た、精霊の子よ。今から最新部に向かい[火の証]を手に入れるのだ。そのためにまずは木刀を探し出せ、さすれば自然と道は開かれよう。』

『その蜘蛛の巣は火炎弾で燃やして進むのだ。火炎弾は火をイメージしその火が通るルートをイメージするのだ。火力、ルート共に魔力が上がっていくと同時により巨大に、より複雑に実現させる事が可能だ』

『手に入れたアイテムは次元魔法で精霊次元に収納するのだ。』

『私が教えたことは世界の理に記されているだろう。片手で空間を横に切ってみるがよい』


 メニューが出た

 ていうかこのデ○の樹様めっちゃ親切。


「つまりここがチュートリアルなのか?」


 的確なアドバイス(?)に従って進みコロナはなんなく証を手に入れ外に出てきた。


『よくやった精霊の子よ。私が言うことは何もない。証があればこの森の結界から抜けられるだろう。達者でな』


 そう言うと巨大な木は静かに口を閉じ動かなくなった。


「精霊人様!」


 木陰から鎧に身を包んだ青年が飛び出してきた。「若木様の試練突破おめでとうございます。」


 青年はそういってコロナに敬礼した。


「えっと、ありがとう?」


「わたくし、エレナント王国兵士ナハトと申します。精霊人の王国までの護衛と案内の命を受けて来ました。」


 多少緊張している感じの青年に連れられてコロナは森を進んでいく。


「精霊人はみんなこうやって案内されて行くのか?」


「はい、私たちの部隊は火の精霊人様をお迎えする担当なので火の精霊人様がお目覚めした時はその都度迎えに来ています。」


「火以外の属性の精霊人が来たときはどうなるの?」


 コロナは初めのキャラメイキングの時に火属性を選んでいた。属性は3すくみになっている火と水と草、3属性とは等倍だがお互いに倍のダメージの光と闇の合計5種類があった。「他の精霊人様の所へは他の部隊の者が向かいます。そもそも私たちも精霊人様と同じように自分の対応した若木様のところにしか行けません。」


「あれが若木であと4本。みんなここ始まりなのか。

 あの中にいた魔物、あれはどれくらいの強さなの?」


 コロナはエレント王国までの道中、ナハトに様々な質問をし、5属性の他に精霊人のみ使える土属性の魔法があることや、この辺りには8つの地域があること、最近魔物が活性化してきて被害が増えていることなど様々な情報を集めていった。ちなみに中で倒した魔物は最弱レベルらしい。


「ここがエレナント王国…」


 城壁に囲まれ跳ね橋がありとよくゲーム等で登場する作りだが実際自分の目で見ると圧巻だった。なにしろ国一つ囲んでいる堀と壁があるのだ。


「第一部隊ナハト、ただいま戻りました!」


 ナハトがそう叫ぶと橋が降り王国の中が見えてきた。作りとしては中央に城が建っており、四方に門がある単純な作りだが、そこにテレビを通してではなく1人の人として足を踏み入れると感動するものがあった。



「コロナさん。エレナント王国へようこそ!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ