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第一話

今回から一人称でやっていこうと思います。

今までずっと三人称でやってきたからどこか三人称っぽくなるかもしれませんが、生暖かい目で見てください。

 以前の不思議な男との出会いから二日たった僕は今、あの男の人の話されたとおり、その「異世界」なる場所へ行こうと思った。

 理由は至極単純で……


「今の生活よりも刺激がありそうだよね」


 たったそれだけである。


「本当にこれでいいのか分からないけど、まぁ、ガス抜き程度に考えよう」


 僕こと宮流卅麻は学校ではそこそこ優等生ぶっているけど、実のところ異世界とか宇宙とかそういうファンタジーやSF的な響きにはすごく関心があるのだ。

 そう言った小説はかなり読んだし、そう言った漫画やアニメもかなり見ている。

 やっぱりそういう非現実的なものには知的好奇心を隠すことができない。


 「あ、何か用意した方がいいかな? でもいつまで滞在するか分からないし、下手な準備は逆に無意味だからやっぱり簡単な装備にした方がいいよね」


 動きやすい服をいくつかリュックに詰め込んで財布を入れて家を出た。

 もちろん家の鍵は閉めたし、置手紙があるから大丈夫でしょう。


 ちなみに一日貰って出した決断を伝えた時のやりとりはこんな感じである。




◇◆◇◆




「約束通り、決意の程を聞きに来ました」

「あ、こんばんは、う~ん正直、やっぱりまだわからないんだよね、貴方の言う世界に行くと、僕はこの世界からいなくなって、そうなったらお父さんとお母さんがどれほど心配するかわからないしね」

「なるほど、確かに仰る通りでございます。でしたら、私の世界に行く気になられたのなら、この街のはずれにある古びた神社に明日の一二時までに来て下さい、参上した場合は貴方を異世界へとご案内いたしましょう」


 ざっとこんな感じでやりとりを終えた。

 で、僕は異世界に行くつもりなので現在はその古びた神社へと向かっている。

 というかもう古い鳥居の前に居ます。


「あのぉ~来たんですが、誰かいませんかぁ~?」


 とりあえず人影がないのは当然ながら、昨日の男性がいないから不安になって叫んでみた。

 すると丁度鳥居の影から――丁度僕の位置から鳥居の影に居るように見えただけで結構離れている――昨夜の男性が姿を見せた。

 彼は奇麗な最敬礼をした後に確かめるかのように僕に問いかけた。


「決意に揺らぎはございませんか?」

「ないって言ったらウソになるけど、でも僕が必要とされるなら行って助けたいと思っているから、連れってください!」


 僕は言葉を言いきった後に思いっきり頭を下げた。


「誠に心強いお言葉です、では私の手をお取り下さい」


 その言葉通り僕はその男の手を握る


「そういえば、まだ名乗ってなかったですね、私は銀山鉄也ぎんやまてつやと申します。」

「宮流卅麻です、よろしくお願いします」


 紹介を終えたと同時に周囲に薄い光が自分たちを包んでいることに気づいた。

 足元には幾何学模様が浮かび上がりそこから光があふれていた。


「それでは異世界『ネクル』へとご案内いたします。我らが救世主様」


 僕はその言葉に一つ頷く、それを確認した鉄也さんは指を鳴らした。

 突如、足もとに浮遊感を感じすぐに落下が始まった。

 何で落ちるんだぁ~!と声には出さないながら内では叫んでしまった。




◇◆◇◆




 その頃、神社の境内から外れた林の中に一人の少女が二人の様子を伺っていた。


「行っちゃった……私の使命を果たす時が来たのかな?」


 そう言った赤茶色の髪をなびかせて少女はその場を立ち去った。




◇◆◇◆




 落ちている最中に意識が飛んでいたらしく、僕はおぼろげな意識を無理やり覚醒させて瞼を開ける。

 最初に視界に映り込んだのは夕日によって赤く染め上げられた紅い空であった、雲ひとつない空であった為、その日は快晴であると確認できる。

 しかし僕が来た時は昼の十二時だ、夕陽を拝むには早すぎる。


「着いたのかな……?」

「はい、よく来て下さいました救世主様、ここが貴方様の住む世界とは別の世界『ネクル』の地でございます」

「なんかあまり実感がわかないなぁ……」


 そう言って僕は周囲を見回すと目測二キロほどに大きな建物がある街を見つけた。

 その周囲は――僕がいる位置も含めて――草が生えているだけでただの草原だった。


「あぁ~なんかいきなり実感しました」

「それは何よりです。まずはあの街『王都ネフェル』を目指します歩けますか?」


 鉄也さんからそう尋ねられたけど立ってみたら普通に大丈夫そうだから一言「大丈夫」と言ってその王都を目指して歩き始めた。


 目測二キロとか言ったけどそんなに遠くなかったです。

 今は王都の入口となる門の前に居ます。二人の門番が槍を手にしたまま人の往来を確認している。


 持ってきた荷物を確認されるのかと思ったけど、鉄也さんを見るなり敬礼をして素通りしてしまった。


「鉄也さんって一体何者なんですか?」


 僕は鉄也さん並んで――僕は鉄也さんから見て左隣を歩いている――王都の大通りを歩きながら質問した。

 王都の道路はすべて石畳でできており、現代日本のコンクリートに歩き慣れた僕には少し歩きにくく感じる。


「鉄也で構いませんよ、身分上では貴方は王と同等の地位にいますから」

「はぁ……で、貴方は一体?」

「私は王の勅命を受けて動く、いわば暗部でしょうか」


 え?暗部って言ったら顔が知られてないんじゃないの?


「顔パスに疑問を持っていると言った感じですね、無理もありませんね、彼らが私を通したのは私の右胸についているエンブレムを見たからです。」


 そう言われて僕は鉄也さんの右胸を確認すると、複雑な模様が施されたエンブレムがあった。


「これは王の命を受けているという証明になりますので」

「なるほど……」


 そこで一度会話が途切れ、鉄也さんはとある建物の入口で立ち止まった。


「ここは?」

「図書館です、貴方は一応救世主ですが王宮で住めるわけでもないので、ここで簡単な常識と必要な知識を身につけていただきます。本でもわからないことは私の口から説明させていただきますのでご安心ください。」

「それはありがたいですが、言語や文字は大丈夫なのかな?」

「その辺もご心配には及びません、以前この世界にやってきた救世主によって言語や文字は全て日本語ですので」


 その先代の救世主様は素晴らしい仕事をしたな、僕にはとても生活しやすい世界かもしれない。


 とりあえず、図書館に入館して鉄也さんが必要な本をどんどん持ってきた。

 十冊くらい持ってきた。


「救世主のご活躍を記した本や世界の地図など、生活には必要となると思われる本を選んできました」

「わざわざすみません」


 礼を言って僕は本を読んで行く。

 ざっくりと内容を説明していこうと思う。


 まずは救世主伝説についてである、伝説となっているけど史実であり、過去に実際に起きていることを記した物語となっている。

 鉄也さんの話によると数人の人が救世主として過去にネクルにやってきているとの事らしい。

 その中でも一番最初の救世主の物語らしい。

 最初の救世主はどうやらネクルで生まれ育った人で、なんでもできる天才だったらしい。

 そして初代救世主は巫女と出会い神託を受けて破壊神――または邪神とも言われているらしい――を討伐しに行った、魔法と聖剣を駆使して救世主は討伐はできなかったものの破壊神をその聖剣に封印することに成功したらしいが、その封印も一時的なもので数百年単位で復活するらしく、今が丁度その時らしい。


 次に世界の地図である、大陸の形は簡単な菱形のような形だが南の方が大きな口で食われたかのような感じに抉れており、そこには大小様々な島があるようで、中央に僕がいる「アストラ王国」そこから北に「親交公国クラウエデン」南の島々は「中立国イーフォン」東に魔族の住む「魔界」西には竜が住む「竜国ドラゴネス」と言う感じに国が存在する。

 ちなみに僕の目標である破壊神がいるのは魔界とイーフォンの間、丁度東南にある通称「黒の塔」と呼ばれる建物である。

 

 そして、各国の特徴だが。

 クラウエデンは山に囲まれており金属や宝石など武具や装飾品を基本に輸出して国家の生計を立てている。

 ドワーフを基本とした亜人がほとんどの国である。


 次にイーフォン、大陸に一番近い大きな島を中心に小さな島々に村があるらしく、各村で漁業を中心に成り立っている。


 魔界は魔族と呼ばれる人ならざる者たちが住まう世界、特殊な瘴気に包まれており普通の人間では近付くだけで命の危険がある危険地帯、そこの瘴気を動物が浴びることで魔物と呼ばれるものになり人間に害をなすものになる。

 魔物は国に仕える騎士や、討伐を依頼できる通称「ギルド」と呼ばれる何でも屋に報酬を用意して依頼をすることで、なるべく被害を抑えている。

 魔界では最も強いとされている魔族が国を治めているその者は「魔王」と呼ばれている。


 次に竜国ドラゴネスである。

 ドラゴネスは大小様々な竜が住んでいおり、人の姿を成して王都に来たりしているらしい。

 人と同等の知性を持ち、その強靭な肉体と魔法への高い順応性、体内の核物質を燃焼して口から吹き出すブレスを武器に世界最強の種族として君臨している。

 こちらもまた強い竜が国を治めているが、大体は遺伝子で強いか弱いかが決定するためほとんどは王の血筋である。

 国を治めている竜は「竜王」と呼ばれ、現在一三〇〇年もの間、王が変わることがなく今も同じ竜が王を務めている。


 その他の本には「ガク」と呼ばれる共通通貨――換算方法が円と全く変わらなかった――のこと、救世主が特別な力を持つと言った補足知識ばかりであるため割愛させてもらう。


 とりあえず、必要な知識を一通り身につけた僕は鉄也さんに寝泊まりする場所へ案内をお願いした。


「では、今日はこの宿でお休みください」

「お金まで出してもらってありがとうございます」

「いえ、当然のことをしたまでです。明日には卅麻様に戦うための武器と魔法の知識を手に入れてもらいます」

「分かった」

「ガクについてですが、とりあえず三万ほど置いておきますので旅の準備に役立ててください」

「何から何までありがとうございます。ではお休みなさい」

「はい、お休みなさいませ」


 そして鉄也さんと別れて僕はすぐにベッドで横になり目を閉じた。

 明日からは僕の非日常が待っているんだ、楽しみだな。


 そのまま僕は深い眠りへと落ちて行った。

全部で四〇〇〇文字となかなかの長丁場でしたが、内容はすべて説明ばかりとつまらないものになりました。

次は戦闘訓練です。

平和な日本で育った卅麻ははたしてどれだけ戦えるのか!?


次回の投稿でお会いしましょう。

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