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第十一話

昨日書いていたら誤って変なところ押してしまったせいで4000文字が水の泡になったので不貞寝しました。

申しわけありません。

 聖遺物を手に入れてから一夜が過ぎた。僕と結香は屋敷を後にし王都を通り南の国イーフォンを目指すことにしていた。

 僕たちは現在来た道を戻り登山道を下っているところである。


 しかし屋敷を去る時に真羅さんより「もし王都に戻るのなら武闘会に出ると良いわよ」と言われ、僕たちは王都で一度その武闘会とやらに出場するために予定を変更して、王都への滞在を決定した。


「そう言えば真羅さんが言っていた『マクシミリアン=クロノス』って人はどんな人なんだろう?」

「真羅さんの言ったとおりなら武闘会でその人を見ることができるってことだけど……とりあえず堅苦しいって言っていたわね」


 大会の優勝候補で一番人気のある人なのだとか。

 そうそう、武闘会にはかの竜王様も出場するとのことで、今回の大会は相当の盛り上がりがあると登山道ですれ違った人たちが話していたのを聞いた。


 最強の竜と人類最強の戦いが見れるとあって王都はすでに人があふれているんだとか。


「今回の大会に出るのだけは止めておきたいなぁ……」

「何言ってるのよ。せっかく聖遺物を手に入れたんだからその力を試す良い機会じゃない」


 え?聖遺物使って良いの!?


 僕の表情で何を思ったのか結香は察したのか簡単にルールを説明してくれた。

 まず、聖遺物、メダリオンの使用は認めてられており、魔法も使ってよく。すでに僕の十八番となっている天災魔法も使用可能。

 ほぼなんでも有りと言った感じの内容であった。


 誤って相手選手を殺害しても、専属の治癒術師によって蘇生させてもらえるため問題なし――魔法って便利なんだね。

 あと、一対一で戦うシングル戦、二人一組で戦うタッグ戦の二種類の種目が存在する。


 また優勝者には一億ガクの賞金と王へ謁見しその場で物を強請れるんだとか……


 ちなみに真羅さんは僕たちの去り際に「もし優勝して王様に逢えたら『マクシミリアン=クロノスと話す場を設けてほしい』って言いなさい」と言って、「もしこちらに不利なことを言ったら『時雨真羅が世界を滅ぼす』って言いなさい」と脅しのセリフまで教えてくれた。あの人なら本当に世界を滅ぼせそうだから冗談になってない。


「説明している間に王都についたね、とりあえず出場参加の申し込みを済ましましょ」

「了解。」


 そうして僕たちは受付へと向かった。

 シングル戦、タッグ戦ともに出場する予定で、シングルには僕だけ出場しタッグ戦は結香とペアで出場する。


 受付ではギルドの会員カードを提示するだけですぐに受付が完了した。

 参加者には当日までを過ごす為の宿屋の貸し出しもしていため、僕たちはそこの宿で部屋を取って当日まで過ごす。


 開催までは三日あったためギルドで周辺の魔物の討伐や薬草の採取の依頼を遂行したり。開催場所である王都の東側に存在するコロシアムへ赴いて現地の調査を行った。


 コロシアムはほぼ地球のコロッセウムと同じであった。




 ◇◆◇◆




 色々とやっているうちに三日過ぎ、僕たちは現在コロシアムにて開催式に参加していた。

 武闘会の日程はシングル戦で三日、タッグ戦に二日、最後に閉会式となっている。


 試合内容はトーナメントになっており、シングルには二組のトーナメント表があり、一組に大体十人ほどが参加していた。

 僕の出番は最初は三試合目になる、相手はどこの誰か分からない人だ。


「ねぇ、結香、僕は優勝をあきらめるしかなさそうだ」

「いきなりどうしたのよ?いくら卅麻でも随分と弱気じゃない」

「僕がいるトーナメント表の一番端っこを見てよ」


 僕は結香にトーナメント表の右隅っ子を指差した。

 そこに書かれていた名前は「マクシミリアン=クロノス」と、しっかり日本の片仮名で僕でも読めるように綺麗な字で書かれていた。

 それに加えて、竜王様(ティアマト)の名前まであった。


「順当に勝ち進んだら準決勝で竜王様かマクシミリアンとぶつかるわね。うん、ガンバッテ」

「くそぉ!他人事だと思いやがってぇ!」


 これは何のいじめだろうか。僕は優勝をタッグ戦に託すしかないようだ。


「なんだ、お前も出るのか卅麻」


 僕が嘆いていたら少し左後ろから以前に聞いたことがある声が聞こえた。


「あれ?刃さん!お久しぶりです!!」


 僕が挨拶をした相手はここに来てまだ間もない時に、初めて剣を買う時に選んでくれた雨条刃さんだ。

 相変わらず茶色のマントで全身を隠しているけど、僕よりも高い身長をしたテノールボイスの人だ。


「あぁ、久しぶりだな。お前とは決勝じゃなきゃ戦えそうにないな」

「刃さんも出場するんですか?」

「ああ、俺は二組目の一番最初に出番だ、まぁ決勝までは片手で軽く捻る程度だろうな」


 すごい自信だ。でも本人は以前に少しばかり剣を長い間使っていると言っていたから相当な強さなのだろう。

 しかし、マントで全身を隠しているが彼は結構細身だし鍛えているようには見えない。


「うう……でも僕は決勝へ行けるかどうか……」

「あぁ、竜王にマクシミリアンか、こりゃあ決勝進出は厳しいな。何せマクシミリアンはこの武闘会で十連覇を果たす猛者だからな」


 何それ?真羅さんばりの化け物じゃないか。

 これは本当に無理臭いぞ。タッグ戦には竜王様もそのマクシミリアンさんも出ないみたいだし――トーナメント表に名前がない――そっちで優勝を狙うか。


「もう開催式も終わるし、控室に向かうかな」

「それじゃあ、僕たちも」

「ああ、頑張れよ」


 刃さんはそう言って控室へと向かった。

 とりあえず僕の出番はまだ先だし、控室で魔法陣の準備をしておこう。


 二試合分の時間を使えば発動待機の状態に出来るだろう。

 くっくっく、開幕直後に天災魔法を叩きこんでやる。




 ◇◆◇◆




 そうして二試合が終わり――一試合の時間は約二十分もしないぐらいだった――僕の出番となった。

 ちなみにこの後は竜王様の試合があり、次に一試合挟んでマクシミリアンさんの試合となっている。


 どうやら僕の試合相手は目の前の明らかに荒くれ者みたいな身長二メートルほどの筋骨隆々とした大男であった。

 ちなみに禿げで髭面の為に悪人にしか見えない。獲物は両手で持った斧みたいだ。


「今大会初参加者の宮流卅麻選手の活躍にこうご期待っ!!試合開始っ!!」


 実況者の男性の掛け声で試合が始まった。

 もちろん僕はそれと同時に天災魔法『古代の業火エンシェントインフェルノ』を発動した。


 世界が赤へと包まれ、天上より太陽の如き火球がゆっくりと降りてくる。


「な、何が起きたのだぁぁぁぁ!!」


 実況者さんがすごい騒いでいるけどもう終わりです。爆発によって轟音と光で視界と聴覚が奪われる。

 感覚が戻ったら対戦相手はプスプスと音を立てながら丸コゲになっていた。


「あのぉ~勝ちでいいですか?」


 僕がそう尋ねると審判は首をコクコクと縦に振って肯定したのでさっさと舞台から降りて控室へと戻ってきた。


 次の竜王様の試合、マクシミリアンさんの試合は二人の圧勝で二回戦へと進出した。第二回戦では竜王様対マクシミリアンさんの試合となった。

 とりあえず僕の第二試合はどこの誰かもわからない人と戦い、同じく天災魔法でぶっ飛ばした。



 ◇◆◇◆



 初参加の魔法使いの少年が快進撃を続け準決勝へと駒を進め、その日最後の試合であるマクシミリアン=クロノス対竜王ティアマトの試合となった。


「久しいなマリスよ」

「お久しぶりでございます。竜王ティアマト様」


 マリスとはマクシミリアンの愛称であり。それを知るのはアストラ王国の国王と彼女と近しい関係の数名の身である。


 簡単な挨拶を済ませた二人は早々に試合の開始の合図を出させてた。


「それでは参りますっ!!」


 最初に動いたのはマリスである。

 約三メートルほどある間合いをワンステップでしかも一瞬でティアマトの懐へと潜り込んで、右手で掌打を打ち込む。その掌打を放つ腕をティアマトは左の肘で弾き軌道をずらし反撃のストレートを放つ。それを首を左に曲げることで回避し右足を軸に反時計回りに左足での回し蹴りを放つ。その一撃を両手で防ぐが勢いを殺せず一気に蹴り飛ばされた。


「相も変わらずの馬鹿力と身体能力よ。前より反応が良くなったのではないか?」

「それはないでしょう。わたくしはもう三千年も生きているのですよ。老いはすれど成長はしません」

「良く言う。我を小石のように蹴飛ばすくさいに――」


 竜王が言い終わる前にマリスが再度一瞬で距離を詰め次は顔を狙って右ストレートを放つ。

 先ほどマリスがやったように竜王は左に首を曲げてそれを避け、竜の十八番であるティアマト特有の金色のブレスを放つ。


「くっ!我が天声に答えよ『アイギス』!!」


 魔法の詠唱のように唱えた彼女の言葉は次の瞬間にブレスからマリスを守る不可視の盾となった。

 アイギスの効果がある間、マリスの左首筋に特殊な紋章が浮かび上がっていた。


「全くもって厄介なメダリオンだ、我のブレスも防ぐとは」

「危なくアイギスが壊れるところでしたよ、しかしさすがは竜王様です。私の防御を破壊するやもしれぬ力を持つとは」


 いつの間にか舞台の中央へと移動していた竜王が悪態をつくが、マリス本人もだいぶ慌てていたの軽い深呼吸で息を整えながら竜王の力を褒め称える。


「しかし、主とは長期戦は自殺行為、やはりここは短期決戦と行かせてもらうぞ」

「それはこちらとしても同じです。早いですが幕引きとしましょう」


 二人は同時に前に手を掲げながら詠唱を始める。


「幾千の時を翔ける魔導の歴史。永遠の時空にその破滅を呼び寄せ具現せよ『次元の破滅ディメンジョンデストラクション』!」

「万物を飲み込む黒の世界。光すらも喰らい尽くす破壊をこの地に呼び起こせ『黒の破滅(ブラックホール)』!」


 竜王の放つ次元魔法とマリスの消滅魔法がぶつかり爆発する。

 数秒ほどの爆風の後に巻きあがった煙が晴れるとそこには無傷で立つマリスと気を失っている竜王の姿があった。


「どうやらこの「グロリアスメイル」のおかげで私の勝ちみたいですね」


 マリスの勝利を告げる実況者の声をバックに彼女は舞台を降りた。

次回はマクシミリアン対卅麻の試合となります。


さて、明日は休みだしできれば二話ほど投稿できたらいいな。

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