表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
混沌より出ずる軍団  作者: 皐月二八
第四章 アーミー・コープス・ホリデー 整備
38/41

第三七話 オフィサー 幹部

 お久しぶりです。新章突入です。

 この後は暫く、カーキやGAメンバーのターンです。

 ちょっとだけですが、久しぶりにカーキの一人称視点が入ります。

 GAにおける最大の戦闘単位は「連隊レジメント」である。同様の規模の部隊として「旅団ブリゲード」もあるが、此方は数が少ないうえに編制も特殊であるため、一先ず置く。

 一個連隊は、二個の「大隊バタリオン」で編制されており、一個大隊は約六〇〇程度の兵で構成されている。つまり、一個連隊は一二〇〇前後の兵が所属しているということである(しくかしGA全ての大隊が、何らかの連隊に属しているというわけではない)。

 GAには一二個の連隊が存在するので、三万七六〇〇いるGA軍団員の半数近くが、何処かの連隊に属しているということである。


 その連隊の頂点たる連隊長は、これら連隊をさらに束ねる上位の存在、つまり総督に次ぐ地位と実力を持つ存在であると言える。そしてGAでは、大隊長と連隊長を指して「上級幹部」と称することが多い。場合によっては、そこに旅団長や局長も加わる。何れにせよ、自他共に認めるGA上位の猛者達だ。


 理由は、大隊長が何れも飛びぬけて優秀な上級ハイモンスター、連隊長に至っては、天上級ヘヴンモンスターで構成されているから、という点が大きい。

 GAにはハイモンスターでありながら、中隊長や小隊長、果ては一介の兵士となっている者とて少なくない。無論、それは彼らがハイモンスターとして実力不足だから、というわけではない。彼らの能力やスキルが、その役職に適しているからというだけの話である。

 彼らと比較してもなお、「大隊長クラス」は特別なのである。六〇〇の軍団員を率いる以上、相応の戦闘能力や指揮能力が求められる。

 ヘヴンモンスターとの差は、言わずもがなだ。



「それが一様に集まれば、まぁ、こうなるわよねぇ」



 第一ヘキサゴン『大要塞』の先任メイドであるドートロシュは、まるで他人事のように呟いた。実際彼女は会議に参加せず、給仕をしているだけなので他人事なのだが、メイド隊の実質的ナンバー二が言うには、些か不適当かもしれない。

 ドートロシュは紅い瞳を僅かに細め、敬愛するカーキに見られていないのをいいことに、盛大にシニカルな笑みを浮かべている。小柄で童顔の少女の表情としては不適当も甚だしいが、如何にも様になっているのは、彼女の持つ神々しさ故だろう。

 先任メイドたる彼女は上級ハイモンスター“主天使キュリオテテス”。大隊長クラスではないとはいえ、能力や責任はそれに比類する。何せ彼女は、カーキの住居がある『大要塞』の防衛を担うメイド二〇〇名以上を率いる立場なのだ。それだけではなく、彼女は実質的なメイド隊ではヘールボップに次ぐ実力者であるし、ヘールボップ、ヴィオラに次ぐカーキの第三秘書と言っても過言ではない立ち位置にある(当人は、その割にはあまりカーキと一緒の時間がとれず、大いに不満だったが)。


 そのドートロシュをして、呆れさせるような光景が、彼女の深紅の瞳に映し出されていた。見た目と違い、実際はプロ意識の塊である彼女が給仕中に私語を呟く程、大宴会場の中の空気は混沌カオスそのものだった。



「可哀想なのは一般メイドたちね。流石にあの面々の御前で殺気に飲まれない程の子は、そうそういないだろうし……。私も総帥閣下への御奉仕にいきたかったなー」



 自分と同じように給仕しているメイドたちは、先任メイドを除いて全員が、僅かに流れる汗を必死に隠そうとしている。給仕中に無様な姿を晒すとは、あとで蜂の巣にでもしてやろうかとも思わなくもないが、状況が状況なので、今は怒りよりも憐みの方が勝っていた。

 こんなところで可哀想な部下たちと働くより、カーキの傍で書類整理でも手伝わせて頂いた方が億倍も楽しいのに、と、プロにあるまじき私情バリバリの感想を抱いたところで、室内にガチャリ、と大きな音が響く。


 そちらに顔を向けると、長身の男が大仰な仕種で、フォークとナイフを皿の上に置くところだった。






 畳が敷き詰められた大宴会場は、長机が幾つも置かれ、五〇を超える座布団が置かれている。

 机の上には大小様々な食器、グラスが置かれ、こんもりと料理が並べられていた。

 遠目から見ても小山のような料理は、圧倒的な速さで次々と、座布団の上に座る面々の胃袋の中に収まっていく。


 会話は少ない。

 咀嚼する音、食器と食器が擦れ逢う音、近くにいる者同士が細々と話し合う声。

 無くなるそばから、新しい料理や飲み物を運んでくるメイドたちは、殆ど無音で給仕をしているため、発生している音は、それくらいである。

 あとは精々、庭先から聞こえてくる風の音くらいであるが、気にしている者など殆どいないであろう。


 縦に並べられた長机のさらに上座に、横に並べられた長机がある。

 そこには庭がある方角から、アルマ、ルカ、フローラ、ヒイロ、マナの順で、総督達が座っていた。分身体クリスタルのアルマを除き、此方もほぼ無言で食事に専念している。


 今回の定例会については、ヴィオラとヘールボップが、「上級幹部たちの親睦を深めるための定期的な食事会」とカーキに説明し、カーキはそれに納得している。彼は「部下たちは部下たちでのんびりさせよう。僕が出ても邪魔だろうし」と、今この場にいる者たちが聞けば、全員全力で否定するであろう感想を抱きつつ、ヴィオラとヘールボップと一緒に戦略会議と事務を行っていた。


 そんな背景もあって、全員集合した直後に、アルマが「一先ず食事でもしましょう」と言いだし、その結果が現状である。


 唯の食事で、別に殴り合いでもガンの付け合いでもしているわけでもないのにも拘らず、周囲のメイドたちがカオスの中に身を鎮めているような錯覚(?)を抱いているのは、食事中の彼らの態度が、やや張り詰めているからである。

 険悪、という程でもないのだが、隙を晒しまくって無礼講、というわけでもない。適度に緊張感を孕んではいるが、その「適度」が常人(というか、常天使)が胃を押さえたくなるレヴェルという話なのである。


ガチャリという音が響いた直後、部下メイドが一瞬だけ肩を震わすのを横目で見て、ドートロシュは思わず溜息をつきたくなる。



――――態度はああも紳士のようだと言うのに、どうして自分の放つ圧が女性の心臓に悪いことも気付かないのか。



 そう思いながら、ドートロシュは音の発生源である、長身の男を僅かに睨んだ。

 背丈は、三メートル近い。個性溢れる集団の中でも、なお飛び抜けて目立つ程の長身だ。僅かに皺のあるほっそりとした顔立ちに、くすんだ黄金色の短髪。翡翠色の瞳。そして肌は、やや灰色がかっている。

 細身ながらも、がっしりとした身体は、カーキが着込んでいる物よりやや装飾が少なく、漆黒の軍服に包まれている。


 彼は皺一つない軍服をピシリと着こなし、優雅に食事をとっていた。その脇には、彼の背丈よりもやや長い、漆黒の柄と鞘が特徴的な日本刀が置かれている。


 彼は続いて、酒が入った猪口を掴み、優雅に中身を口に入れる。そして顔を天井に向け、ふぅ、と息を吐いた。

 その行動だけで、ドートロシュは自分の心臓にピックを突き刺されたかのような感覚に陥る。



「――――少々大きな音を立ててしまったな。許せ。無粋な真似をした」



 小さく呟いただけの声。にも拘らず、それはどんな騒音や絶叫よりも、ここにいる全員に沁み渡っていくようだった。

 総督達は気にも留めないが、彼の同僚は僅かに静止し、彼の配下・・の大隊長は、思わず声をあげそうになる。


 GA第一歩兵連隊連隊長、アオテアロア。「GA最強の連隊」を率いる天上級ヘヴンモンスター、“龍帝ドラゴン・エンペラー”である。


 周囲に向かい、深々と頭を下げるアオテアロア。その態度が一層、周囲の恐縮を誘っていることに、当の本人は気付いているのかいないのか。性格的に、後者なのは間違いないだろうが。



「気にしなさんなて、アオの旦那」



 そんな周囲の声なき悲鳴を感じつつも、惚けた表情で、アオテアロアの隣で茶を啜っている少女が、目を瞑ったまま小さく頷いた。

 漆黒の髪を、腰まで伸ばした少女だった。女子中学生くらいの、ヒイロと良い勝負といった小柄な少女だ。しかし、コゲツと同じように、身体つきははっきりとわかる程に女性的である。

 肌は雪のように白いが、右頬を中心に、クモの巣――――円網えんもうを思わせる図形が黒い線で描かれており、その模様が顔の殆どを覆っていた。

 何より特徴的なのは、その服装である。薄紫色のワンピースを着込んでいるのだが、首から糸にくくり付けたハサミを下げており、しかも、両肩、両手首、そして両足の太腿からも、同じようにハサミをぶら下げている。何とも動きにくそうな格好である。


 GA第二歩兵連隊連隊長、ベアトリクス。アオテアロア同様、ヘヴンクラスの中でも優れた実力を持つモンスター、“無限飢蜘蛛(ウゴリアント)”である。



「例の大異変――――総帥の旦那が、非常事態を発令してから……ずっとこっちは働きづめさ。同期のヤツにも滅多に会えないさぁね。

 暫くぶりに、同期や部下たちと飯喰える機会さ。多少の粗相で、空気を悪くしたがる者も、いないさね」



 ゴトリと湯呑を置いたベアトリクスは、胸元から煙管キセルを取り出すと、パチンと指を鳴らして火を付けた。

 そして、周囲を見渡す。



「……そういえば、連隊長が一人足りんさね」


「アタランテなら、遅刻・・だそうだ」



 アオテアロアの返事を聞き、ベアトリクスの額にピキリと青筋が浮かぶ。ベアトリクスはため息をついて、思わず噛み砕いてしまったキセルを口の中に入れ、咀嚼する。ゴクリと飲み込むと、再度大きくため息を吐いた。



「……あぁんの遅刻魔、いい加減にせぇよ、と言いたいさね。丸呑みにしてやろうかねぇ」


「アレの性分だ。何せ、総帥閣下が御呼びの際ですら、平気で遅刻してくる剛の女だぞ」


「それを剛と呼んでいいのかは、甚だ疑問さぁね」


 諌めるアオテアロアを軽く睨み、ベアトリクスは低く唸った。

 アオテアロアは、連隊長クラスの中でもっとも古株ということもあり、連隊長たちの纏め役のような役割を担っている。それは全連隊長が認めているのだが、彼は少々身内に甘い点があるのが、ベアトリクスの秘めたる不満だった。

 一二体の連隊長は、全員が同期の関係にある。そこらあたりの事情は、五総督と同じだ。創造クリエイトされた時期は殆ど同じだが、やはり順番というものがある。

 新しいキセルを取り出し、ベアトリクスが吸おうとした時、パンと小気味良い襖が開けられた。


 ほぼ全員が手と口を止め、発生源に視線を向ける。



「いやー、面目ない。すっかり寝過したであります」



 現れたのは、やたらと細身ののっぽな女性だった。

 装飾が施された、漆黒のシャコー帽(昔の軍人が被るような、円筒型の帽子)を被り、赤色の派手な詰襟式の軍服を着込んでおり、まるで軍楽隊隊員か儀仗兵を思わせるような出で立ちである。

 髪はえんじ色の短髪で、瞳の色は鳶色。

 何より目を引くのは、背中に装備されている、ロケットランチャー程のサイズはありそうな携帯式魔導砲と、腰のベルトから吊り下げられている、それよりも小型ではあるものの、サブマシンガン程のサイズを持つ携帯式魔導砲(しかも二基)である。三基とも、迷彩柄にペイントされ、無骨な雰囲気と彼女自身の派手な服装も相まって、かなり目立つ。



「また遅刻かい、アタランテ。何時起きたのさね」


三秒前・・・であります。慌てて支度して、走ってきたでありますよ」



 ベアトリクスの皮肉めいた言葉に笑顔で返したのは、GA第一重砲連隊連隊長であるアタランテ――――ヘヴンモンスター“不可視の戦乙女インヴィジヴル・ワルキューレ”である。連隊長クラス最速のスピードと、ノフレテーテに僅かに及ばない程度の火力を兼ね揃えた、カーキが創造クリエイトした最初のオリジナル・モンスターである。


 アタランテはずかずかと遠慮のない仕種で歩き、連隊長たちが座る席の一番端の空席だった場所に、どっかりと腰を下ろした。腰から下げていた魔導砲は、何時の間にやら消えている。



「あ、ザラストロ、プティ、お久しぶりであります」


「おう、久しぶりー」


「元気だネ、君も」



 隣にいる連隊長たちと軽く挨拶を交わすと、アタランテは豪快に目の前の皿の料理に戦いを挑み始めた。どうやら、まずは目の前の料理を片付けることに専念するようだ。

 それを鋭い瞳で睨みつつ、すでに何十人分の料理を平らげているベアトリクスは、再び茶を飲み始めた。



「……あの、ベアトリクスさん、アオテアロアさん」



 名前を呼ばれ、ベアトリクスはふと視線を上へと上げる。

 そこには、自身を見下ろす美女が、何時の間にやら立っていた。



「あれ、イトカワ。もう食事は終わったんさね?」



 イトカワと呼ばれた美女は、コクリと首肯した。そして、ボソボソとか細い声で話し続ける。



「はい。あまり、お腹が減ってませんでしたので……」



 GA第一制魔連隊連隊長、イトカワ。GA連隊長の中でも魔力なら最大であり、水、雨、そして水源を司る存在――――“水分神ミクマリ”である彼女は、役職に反して常に気弱で、見ている方が申し訳なくなるほどだ。

 透き通るような白い髪を後ろで束ね、紫陽花あじさいが描かれた上質な着物を着込み、両の瞳を青色の布で隠している様は、まさに荘厳だ。にも拘らず、態度と口調がこうなので、イマイチ威厳に欠けている。


 イトカワは薄く微笑みながら、アオテアロアとベアトリクスの間に座り、両手に抱えていた酒瓶を傾け、中身をグラスへと注いでいく。



「えへへ。私のところの水を使って、特務大隊の方々が造ってくれたお酒です。とっても美味しいですよ」


 はにかみながら、イトカワはそんなことを言う。

 彼女は連隊長クラスでは、アオテアロア、ベアトリクス、アタランテの三名と、特に懇意にしていた。彼女は男性恐怖症の気があり、カーキ以外の男は、アオテアロアくらいにしか普通に接することができないのだ。

 連隊長クラスの女性は、イトカワを除けばベアトリクスとアタランテだけなので、イトカワにとって、アオテアロアはかなり特別と言えた。



「感謝する。頂こう」



 それを理解しているのかいないのか、アオテアロアはゆっくりとした仕種でグラスを掲げ、静かに口へと傾ける。喉を大きく鳴らし、息を吐いた。



「……素晴らしいな。イトカワ。お前の水あっての美味、素晴らしい」


「有難うございます」


「……いや、マジに美味いさね」



 ベアトリクスも目を丸くする。



「こいつは、総帥の旦那には……」


「勿論、捧げましたよ。一番に」



 何を当然のことを聞いているのか。両眼を隠していながら、イトカワの目がそう言っているのを、ベアトリクスは感じ取る。

 ベアトリクスは頭を下げた。自分でも、馬鹿なことを聞いたと思う。



「これは、何て銘柄の酒かね?」


「はい。名付けて“絶対的に美しい総帥閣下の笑顔に並ぶほどの価値があると愚かしくも錯覚してしまう程に美味しい酒”です」


「素晴らしいな」


「……いいんさね? ソレ」



 二口目を嗜みながら、鼻で大きく息を吐いて首肯するアオテアロアの横で、ベアトリクスは小首をコテンと傾げた。



「長すぎる……という指摘なら、勘弁してくれませんか? これでも、必死に短くしたんですよ。

 最初の案は、“この世界の何よりも価値がある偉大にして至上且つ聡明な雰囲気を漂わせる絶対的に美しい総帥閣下の笑顔に並ぶほどの価値があると愚かしくも錯覚してしまう程に美味しい酒”だったんですけど、ラベルに『総帥閣下』の字を小さく書かざるをえなくなるくらい長いと文句を言われたので、断腸の想いで短くしました」



 困ったように両眉を下げ、イトカワはふぅ、とため息をついた。



「ううむ。偉大すぎるのも難儀というものか」


「そういう問題なんさね?」



 ベアトリクスは再び小首を傾げるも、まぁいいか、と思い、酒を再び飲み込んだ。ついでにグラスも口の奥に入れ、噛み砕く。酒と硝子ガラスは、相も変わらず相性が良い、と満足する。

 ちなみにこの場には、今更ベアトリクスの食べる無機物モノについて、つっこむ者などいるはずもない。



「アタランテさんにもあげてきますね。……ちょっと怖いですけど、ザラストロさんとプティ・プランスさんにも」



 イトカワは口元を固く閉じ、意を決したように立ち上がった。男性恐怖症の彼女であるが、別に男嫌いというわけではなく、同期の男の連隊長たちと不仲というわけでもない。


 視線に気付いた、アタランテとシルクハットを被った青年、そして白い翼を生やした老人が一斉にイトカワを見た。三人とも微笑を浮かべる。


 イトカワが何とか微笑み返し――――目を隠しているものの、彼女にははっきりとその光景がわかる――――立ち上がろうとした時、パン、と音が響いた。


 瞬間、全ての音が消えた。


 その場にいた全員が、食事を止め、会話を止め、給仕を止め、行動を止めた。


 五〇を超える瞳が、両手を打ち鳴らした巫女服姿の美女――――第二総督ルカ=ブレーンを見つめた。



「そろそろ良いでしょう。それでは皆、始めましょう」


「……」



 席を離れていたイトカワは、無言で己の席へと戻っていく。それと同じように、全員が自分に割り当てられた席へと戻った。






「……ふむ」



 ルカは小さく首肯し、全員を見つめた。緊張している者、あからさまに「食事を邪魔しやがって」と舌を打つ者、好奇心に目を輝かせている者。

 全員が、総帥たるカーキの奴隷。僕。

 反抗的な者もいるが、少なくとも彼らのカーキへの忠誠は本物にして不変だ。

 この駒を、これからどのように使うか。それは全て、カーキの意思次第である。

 だが、しかし――――



「今回の議題は、総帥閣下に安寧を捧げるために、どのように行動すべきか……です。各自、忌憚なく意見を述べるように」



 唯の動くだけの駒など、何の価値があると言うのか。






「……そろそろ皆、食事会をしているのかな」



 僕は思わず、そんなことを呟いた。

 執務室には、今は僕を除くとヴィオラとヘールボップの二人しかいない。



「ええ、恐らくは」



 頭上の天使の輪を輝かせながら、ヘールボップが頷いた。



「そっか。……それじゃあ、こっちも始めようか」



 僕は軽く伸びをして、天井に向かって大きく息を吐く。そして、執務机の上でちょっとしたタワーを形成している書類たちの中から、一番上のそれを抜き、二人に見せた。



「これ、どう思うかな?」



 二人はその文面を見て、僅かに目を見開く。

 その書類には、デカデカとこう書かれている。



――――船団整備計画








 

 この章で、これまで調査してきたことからカーキがどう考え、そして幹部たちがどう考えるか、それぞれ書いていきます。

 GAがどう変わり、どう動いていくかを描写していくつもりです。

 あまり戦闘描写とかは書けないかもしれません。その意味では退屈な章ですので、更新は早めていくつもりです。


 御意見御感想宜しくお願いいたします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ