自分の罪を数えながら待て
ならず者達が礼拝堂の出口に向かって雪崩込む。
だが、その扉の前にいたのは、もうひとりの死神役アイシャ・セロニアス。
「ソコを退けぇええええ」
と、叫ぶ男の膝が床に落ちる。
切り損ねた薪が転がるように、中身の入った男のブーツが床を転がる。
男達の列が異様な静寂に包まれる。
この暗さではアイシャの手に持つ片手剣の刃渡りさえも良く見えない。
「この扉を無事に通りたければ、通行料は眼球二個だ」
「自分のでも、他人のでも、構わないぞ」
「さぁ、早い者勝ちだ」
「向こうの金色の死神に消されるのを待つならば、それもよし、だ」
腰を抜かした男達は、透き通った声で絶望を告げられた。
・・・
ならず者達は礼拝堂の椅子の隙間で絶望の懺悔を始めた。
アイシャの守る扉を『無賃通過』しようとした三人目の足が転がる。
さすがに目玉の抉り合いにはならないらしい。
神父はシャアリィの背に守られている。
「折角、武器を持っているのに、誰も使わないの?」
そう言われて自分の手に持っているモノが何のためのモノか気付いた男が、
「教えてくれてありがとよォ」
月並な台詞と、使い古された反撃を試みる。
大剣を磨り潰すのは、さすがに面倒だと判断したシャアリィは、ガラ空きの脇腹に水の矢を放つ。
「まぁ、内臓破裂ってとこね」
「死にたくなったら言ってね、まぁ、放っておいても死ぬけれど」
自分達の日頃の行いを棚に上げて、ならず者達が泣き叫ぶ。
「あんた達のことは誰にも言わないし、もう、悪事からは一切手を引く」
「神にも祈るし、寄付もする」
「なぁ、神父さんから頼んでくれないか・・・勘弁してやってくれってよォ」
「お願いだ・・・殺さないで・・・帰りたい・・・家に帰りたい」
懺悔室の中に匿っていた、黒猫の獣人姉妹が姿を現す。
シャアリィは、エレナとナッチェに優しく問う。
「エレナ、許してあげる?」
「ナッチェ、こいつら家に帰りたいんだってさ」
エレナもナッチェも言葉を発しない、ただ、汚物を見るような目で、ならず者達を眺めて二人は背を向けた。
「茶番は終わりね」
「さすがにクズでも殺すには気が滅入るから、はしゃいでみたけれど」
「なんか、シラけちゃった」
シャアリィは、一人づつサンド・ブラストで磨り潰してゆく。
単純に死体の処理が一番簡単だから、と、他のモノをなるべく壊さないように。
そこにはもう、人としてではなくモノとして処理をする自分がいた。
この狭い礼拝堂で、一夜のうちに四十三人を鏖殺したとは、誰も思うまい。
神父とシャアリィ、アイシャは、これで共犯者だ。
教会とコネクションが繋がったことは、二人にとって大きな価値がある。




