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値踏み

明らかに神父の表情に反応があった。

すぐに個数の上乗せをすれば、足元を見られるだろう。

これは最初で最後のチャンスだ。


「シャアリィさん、私達姉妹のためにあなたにそこまでして頂くわけには」


ナッチェの律儀さが良いフォローになる。

アイシャもそれに気付いたようだ。


「シャアリィ、それはダメだ」

「幾らパートナーでも、そこまでしてもらうのは間違っている」

「それに、千個なんて軽々しく・・・どれ程大変か理解しているのか?」


シャアリィは微笑みながら、アイシャに答える。


「神父様にお願いする以上、出来る限りのことをしましょう」

「気に掛かるようなことを、このコの姉は何か言ってなかったでしょうか?」

「覚えていらっしゃったらで、結構です」


シャアリィは、腰のホルダーから愛用のダガーを取り出す。

アイシャの顔付きが変わる。

神父が一歩後退る。


「コレも差し上げます」

「どうか、お救い下さい」


髪を束ね、自分の項にダガーの背を押し当てる。


「ダメだ、シャアリィ」


アイシャの叫びとシャアリィが自らの髪を切り裂くのは同時だった。

シャアリィは、瞳の色と同じ金色の髪を両手に持って神父に捧げる。


「今の私に差し上げられるものは、これが精一杯です」

「どうか・・・」


ナッチェが泣きながら駆け寄って来るのをアイシャが抱き止める。


「どうして、そこまで・・・どうして・・・」


神父は呆然と立ち尽くす。


「私は君に伝えねばならない・・・この娘の姉は、商業埠頭の南側倉庫の何処かにいるだろう」

「君は私に過ちを教えてくれたのだ、魔石は必要ない」

「すぐに行きなさい」


その口からこぼれ落ちたのは、聖職者の言葉。

シャアリィは、アイシャと約束していたことを思い出しただけ。

暑くなったら髪を切ろうと。


髪は女の命というだけのことはある。


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