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伏せられた不都合

「シャアリィ、気付いているか?」


アイシャは、この流れに違和感を感じていた。

だからこそ、クエスト受諾のサインをせず一時保留を申し出たのだ。

ビルの言う理屈はわかるが、言われるままに請け負えば二人は一線を踏み越える。


「海賊に懸賞金が掛かっているかを確認すべきだ」


二人は第三者に会話を聞かれないように、見通しの良い海岸線を歩きながら話す。


「臨時の殺人許可証(マーダーライセンス)なんてものが、あると思うか?」

「もし、それがあるとして、我々のような余所者に簡単に発行されると思うか?」

「セブールが衛兵所を自由に出来る程の力があるなら、そもそも金貨300枚のクエストを発注するだろうか?」


アイシャの感じている違和感にシャアリィも同意する。


「メンツを潰されたから皆殺しって、マフィアの抗争と同じだよね」

「それは冒険者のクエストなんかじゃない」

「でも、どうして冒険者ギルドが、そんなクエスト依頼を受注したのかな」


そう、アイシャにもそれが理解出来ない。

魔物がアンデッドしかいない、そして大教会のお膝下。

だが、出入りする商人の数は東西長距離キャラバンも含めて、非常に多い。

ここはアーシアン連合国全体の貿易窓口なのだ。


アイシャの仮説。

見込みのある冒険者を商人が取り込んで私兵や用心棒にしているのではないか。

自分たちがハメられそうになっているように、だ。

負債を背負わされたり、弱みを握られたりして、そういう扱いを受けているのではないか。


勿論、今はまだ仮説だ。

シャアリィとアイシャがこの街に着いて、一週間程しか経過していない。

その中で知り得た情報等、たかが知れている。

冒険者にとって活動拠点となる冒険者ギルドに情報交換の相手がいないのだ。


このままでは取り込まれるか、拒絶されるかの二択。

この街での目的を果たすことが非常に困難になる。

考え事をしながらも、周囲を警戒し、湾岸地区中央に二人の足が届く。


肝心の衛兵監督所は、もう、眼の前だ。

果たして真実の(いとぐち)は、そこにあるのだろうか。


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