都合の良い免罪符
二人は別に特別に『殺し』が好きなわけじゃない。
時々、楽しくて仕方なくなるのは、『命を奪う行為』についてではないのだ。
それを理解しないまま、シャアリィとアイシャについては語れない。
一つの覚悟。
例えば、今日を死なずに生きると決めて時間が経過していく中。
喉が乾く、腹が減る。
どうせ飲むなら、どうせ食べるなら、美味しいものがいい。
手間を掛けたくないから、誰かに作ってもらいたい。
いわゆる贅沢。
それを叶えるためには『金』が掛かる。
二人がそれを得る方法は、冒険者として、殺す、殺させないようにする、殺されないようにする。
殺したいか、どうかを考えることもあるけれど、大体の場合、殺さなきゃ始まらない。
農場で普通の暮らしをするだけでも、食事をする度に殺し、生活を維持するために殺し、時には娯楽のために殺すこともあるだろう。
美味しい朝食には、スクランブルエッグやベーコン、ソーセージ。
誰だって自覚なく、慈悲なく、殺しながら生きている。
それを我慢してたって、社会に存在してれば、誰かの椅子を奪い、誰かが飢えて死ぬ。
そういう時に祈ればいんだよ。
『ごめんなさい』『ゆるしてください』『どうか慈悲を』
そのために人は神様を『発明』したんだって。
みんなが、誰もが、背負えない、背負いたくない、そういうものを背負ってくれるすごい存在。
でも、シャアリィもアイシャも、神様のせいにはしない。
祈らない。
殺されたくないならば、殺されるような生き方をするな。
殺したくなるような弱さを見せるな。
殺したがってるやつらに見つかるな。
殺されそうになっても殺せるようになれ。
誰もそんな酷い世の中なんだって教えてはくれないよ。
だから、殺されちゃうんだよ。
シャアリィとアイシャは自分のためにしか殺さない。
殺して役立つものしか殺さない。
だから悪いことじゃないのさって、シャアリィは思う。
だから仕方ないよねって、アイシャは思う。




