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クラーケンの如く

安息日の正午過ぎ。

冒険者ギルドの来賓応接室、シャアリィとアイシャは先着、お茶にありついていた。


暫くして馬車が止まる音が聞こえた。

大店の支配人とやらも到着したようで、廊下から声が聞こえてきた。


扉を開けて入ってきたのは恰幅の良い禿頭の男。

ちなみに扉は、秘書か付き人と思われる艶やかで美しい女性が開けた。

そして、禿頭の男の右手はその女性のスカートの中・・・。


「ん?挨拶はぁ?」


野太い声と上から目線で、禿頭が不機嫌気味に吐き捨てる。

まぁ、此処までは良くある話。

シャアリィもアイシャも、気にはしたが席を立ち、ちょっとした威嚇混じりに自己紹介。


「前衛のアイシャ・セロニアス、斬撃、串刺し、粉砕、担当」


アイシャに倣い、シャアリィも上品にカーテシー。


「殲滅のシャアリィ・スノウ、お望みとあれば城壁に穴くらいは開けてみせましょう」


禿頭の男の感想も返答も待たずに、二人は勝手に着席する。


「あンっ、だ、旦那様、こちらもぉご挨拶を、ぉ」

「セブール海運商会、主力船団支配人ビル・ジョビンス、で、ございま、あ、す」


男は着席したまま、付き人のスカートの中に突っ込んだ右手をせわしなく動かす。

顔を赤らめた女性の首、手首には、拘束術式具が取り付けられており、抵抗は出来ない。


「ほぉ、冒険者にしておくには惜しい容姿だな」

「クエストなんぞの話はやめにして、別の商談を・・・ッ」


ビルの視線の先に、シャアリィの氷結した指先がナイフのエッジのようにギラリと光る。


「面接とやらの趣向は、どれくらい冗談が通じるかの確認?でしょうか?」


アイシャが眼を細めてビルに問い質す。

ビルは、演じていた間抜け面を捨て、懐から葉巻を取り出すと、上機嫌で手を叩く。


「いいじゃん、なかなか、話が早そうで」

「オレっちのとこの船を港からパクったヤツ、そいつらから取り返すだけの簡単な話」

「浮かんでりゃ多少、傷モノになっても構わねえ」

「海賊は皆殺し、こっちが重要なわけ」

「雇った冒険者がちょっとやりすぎて、てな、言い訳は商売には大事なのさ」

「クラーケンの名に傷が着くからな」


クラーケン、それは正体不明の巨大な多足の海の魔物。

同業者から、そう呼ばれるセブール海運商会は、八つの港を拠点にする大海運企業だ。

自前の兵で始末をつけるくらい簡単な話。

冒険者という第三者を挟むことで清廉な貿易商であり、被害者であることをアピール。

所有する船舶は当然、保険に加入しているのだから撃沈されても痛くはない。


セブールにとっては、海賊如きに舐められる方が大問題だ。

あそこからは盗める等と噂が立てば、面倒事は海の上だけに留まらない。


「シャアリィ、なるべく派手にやれというご所望だ」

「我々としても、海賊の残党から命を狙われるより、全滅させたほうがいい」

「これは人殺しではなく、海運業の発展への一種の奉仕だ」


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