パイレーツ・ハント
グリーン・ノウズの冒険者ギルドは、何時も閑散としている。
そのくせクエスト依頼の掲示板はレリットランスの倍程も大きい。
港街でもあり、歓楽街でもあり、墓場でもあり、観光地でもある。
だからこそ、多種多様なクエストがあるみたいだが・・・
「結構、古いのが多いですねぇ・・・」
シャアリィが五年前の『子猫探し』のクエスト伝票を見つける。
子猫の期間は半年程度なので、もう、絶対に見つかりはしないだろう。
比較的新しい伝票の中に、アイシャが面白そうなものを見つけた。
「シャアリィ、海賊狩りってのがあるんだけど、やっぱ対人は嫌かな?」
「追加報酬がなかなか魅力的なんだ」
対人戦、コロシアムのような高度な結界が張られた場所ならいざ知らず。
冒険者が異能を振るって本気で人と戦ったら、相手は大怪我で済まない。
「討伐依頼が出てるような魔物と変わらん悪人なら、やってみてもいいかな」
「良くも、悪くも、長いこと冒険者するなら、経験は必要でしょ」
シャアリィは、好む好まずに関わらないという意味をアイシャに示す。
「奪われた商船を取り返すんだって」
「コレ、受けるには面接とか審査とか、衛兵所で臨時許可証とかいろいろ面倒ね」
「でも、沈めずに船を取り返したら金貨300枚だって」
何人で受けるかにもよるが、リスクとリターンの釣り合いは取れているようだ。
但し、この手のクエストは、往々にして不都合なことが伏せられているものである。
アイシャは、マッカーシーパーティでの経験から、それを知っている。
「んじゃ、決まりだね!」
「予約しに行こう」
クエスト伝票を剥がしてカウンターに届ける。
「ペアで?これを受けるの?」
「なかなか難しいよ?」
「支度とか結構、経費掛かるけれど大丈夫?」
受付嬢はお金の心配はしてくれているけれど、命の心配はしてくれないようだ。
なんだか、グリーン・ノウズは命の値段が安い土地柄っぽい。
「依頼者との面接が必要だから、明日、また、今くらいの時間にギルドで」
「ここだけの話、依頼者は大店の支配人だから、嫌なことを言われても穏便にね」
受付嬢の説明が終わり、シャアリィとアイシャは互いに顔を見合わせて、
「「落ち着いてね」」
と、言う顔をした後、お前だお前という顔までシンクロ。
コンビネーションは良さそうだ、と、受付嬢は評価報告書の隅に書き添えた。




