教会と魔石とゾンビィ
この前、冒険者ギルドで言われたことがシャアリィの記憶に引っ掛かる。
「ギルドの買取だと銅貨10枚、教会に持っていくと銅貨12枚」
「うーん、なんか力関係から言って逆の気がするんだよねぇ」
「いや、正しいのか?」
アイシャは特に違和感を持たなかったようだ。
教会がギルドに買取を依頼しているならば、ギルドが手数料として銅貨2枚得をする。
でも、たかが銅貨2枚の利益だから直接持ってけ、と。
需要が何処にあるかと言えば、治癒術、死霊術スキル習得の触媒。
他に何らかの需要はないのだろうか。
例えば、風の魔石が豊穣の恵みに影響するように。
「闇の魔石を植えるとゾンビィが育ちますぅ」
「育ったゾンビィから闇の魔石が収穫出来ますぅ」
「収穫した闇の魔石をまた植えますぅ・・・増えるなら意味あるけれど?」
シャアリィの一人芝居にアイシャが思わず吹き出す。
「ふはは、ゾンビィ畑か」
まぁ、あの迷宮は本物の大規模ゾンビィ・プランテーションだ。
(・・・まさか、本当に闇の魔石を迷宮で増やしているんじゃ?)
アイシャは首を振りつつ、頭に浮かんだあらゆる嫌な想像を自分の記憶から削除することにした。
その上でシャアリィに警告する。
「ねぇ、シャアリィ・・・その関連の話は他の人に聞こえないようにしてね」
「私達はただの冒険者で、教会やギルドを敵に回しちゃだめなんだからね」
『好奇心は猫をも殺す』
ということわざが頭に浮かんでぽつりと呟く。
「まぁ、私は猫じゃなくて獅子なんだけど・・・猫科の同族ではあるわね」
迂闊なことに首を突っ込まないように気を付けなくては。
絶体絶命のピンチから二度も生き延びたのだから、次こそは・・・
常夏のグリーン・ノウズでアイシャの背筋に厭な汗が流れたのだった。




