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レリットランス迷宮

アイシャがレリットランス迷宮を勧めたのは、実は他にも理由がある。

アーシアンから南に下ること5日という近さ、そしてレリットランス迷宮は土石属性の魔物が多い。


氷結の天敵は火炎ではない。

むしろ、火炎は氷結にとって狩るべき相手であり三割増の関係にあたる。

氷結の天敵は土石属性なのだ。

質量のぶつけ合いでも不利、さらに氷結には水分を集める前段階が必要だが、土石はすぐ足元に術式対象物がある。

極論を言えば迷宮自体が土石属性の支配下だ。

レベル上げ、スキル習得を目指すならば、より効率の良い迷宮がレリットランスだった。


「げぇ・・・また、アース・ワームかよ」


シャアリィが文句を口にする。


「デカいくせにすぐに隠れて死角や背後を狙うせこいヤツめ」


アイシャがヒントを出す。


「アース・ワームはどうやって相手の死角を判断してるんだろうね?」


シャアリィに語り掛けながらも、確実にワームを串刺しにしてゆくアイシャ。


(ふむ・・・足音と進む方向だな)


バックステップを踏みながらランダム移動に切り替えつつ、周囲を警戒するシャアリィ。

それを見て、アイシャは率直に感じた。


(すごい適応力・・・アレンジは奇抜だが、実に効果的だ)

(歩幅さえ欺瞞し、手負いを演出してる)


迷宮周辺の墓地でアース・ワームを徹底的に狩り始めてから数時間。

早々にシャアリィの個人レベルが上昇。

まだ、シャアリィの個人経験値はレベル35そこそこだから成長も早い。

アイシャは既にレベル120近くもあり、アース・ワームでレベルを上げるには千体は狩る必要がある。

シャアリィのスキルは、水属性のショット、キャノン、アロー、シールド、ヒールの五種。

氷結属性では、ショット、キャノン、ブラスト、ランス、ウォールの五種。

ルーキーで術式の手数が十種類もあること自体が異常だが、シャアリィはこれらを短縮詠唱することまで出来る。

本来、レベル90以上でなければ習得出来ないものをシャアリィは既にマスターしている。


このレリットランス迷宮周辺で半年も狩りをすれば、シャアリィのレベルは50を超え、他の攻撃属性を得ることも可能だ。

さらにレベル60まで頑張れば、上位の氷結属性術式の取得も出来るだろう。

成長余地は十分過ぎる程にあるが、まだまだ先は長い。

アイシャ自身も自分の身を守るために対氷結の自己エンチャントを習得しなければならない。

それには最低であと30レベルが必要だ。

フローズン・ドラゴンの冷気を弾くには、同等レベルまで成長する必要がある。


アーシアンの個体は、最低でもレベル150は超えているだろう。

こちらが少数編成であることを考慮すれば、アイシャはレベル200でも不安が残る。


実際の戦闘は四時間程度、準備や反省会を含めて八時間。

当面の間、これを安息日以外、繰り返すことにした。

実践の密度にもよるが、シャアリィのレベル60到達は十分に可能だ。

贅沢出来る程の実入りはないが、余暇に甘い物を食べる程度には稼げる。

但し、これだけでは成長度合いが掴み難い為、月に一度、迷宮に潜ることした。


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