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死者の行進

アイシャに索敵を頼むまでもなく、敵の接近が分かる。

どちらかが警報の罠を踏んだ覚えもなければ、大声を出したわけでもない。

雑多に交じるのは、様々な状態の足の音、衣擦れ、何かを引き摺る音、呻きや骨の折れる音。


「おいおいおい・・・わけがわからん、いろいろな音が混じり過ぎて」

「シャアリィ、キャノンを5カウントでいいから撃ってくれ」


索敵を放棄するアイシャに代わり、シャアリィが前に出て要望通りのフローズン・キャノンを撃つ。

水分の密度が低いせいか、魔法風が若干弱い。


「・・・四・・・三・・・二・・・一・・・開放!」


だが、アンデッドの大群を吹き飛ばすには十分な威力はあった。

しかし、十分に引きつけて撃ったわけではない。

軍勢を足止めするだけの間合いもいい加減で、効果も期待出来ない攻撃だ。


「またか・・・今度は、多少引きつけてからだ」

「ウォーターシールド、アイス・ウォール、そこから十カウントキャノン」

「それで仕留められなかったら、さすがに離脱しよう」


アイシャの提案に、シャアリィが珍しく異を唱えた。


「離脱まで戦術に入れているなら、アイス・ウォール後に、サンドブラスト、即離脱」

「それならば敵に押し潰される危険はないよ」

「全容の見えていない相手に十秒間の無防備は承服出来ない」


シャアリィの言い分が正しいだろう。


「そうだね、その通りだ」

「シャアリィ、あなたが冷静で助かった」

「まずは、数を削って離脱だ」


狭い通路に展開したアイス・ウォールは高密度の氷壁となり、行進の先頭から五、六列奥までを氷結させる。

そしてフローズン・レイジの乗ったサンド・ブラストが氷結壁一帯を磨り潰す。

シャアリィは、サンド・ブラストの術式を数秒維持した後、アイシャに離脱の合図を送った。


「アイシャ、離脱を」

「シャアリィ、掴まって」


アイシャが差し出した手を握ると、器用にシャアリィは抱き抱えられる。

そしてアイシャの健脚が、一気に敵との距離を離す。

暫く駆けた後、アイシャがシャアリィを降ろしたのは、かなり広めの開けた空間。


「狭い通路では使えなかったけれど、ここなら私が対処可能だ」

「セロニアスの三節棍ならば五十や百の敵くらい、薙ぎ払ってみせる」

「シャアリィは、かなり魔力を使ったはずだ」

「少し身体を休ませるといい」

「私の獲物の射程から、余裕を持って離れていてね」


冷静さを取り戻したアイシャが、三節棍の一番手元だけを片手で握る。

やがて数を半減させた死者の行列が、ガシャガシャと音を立てて到着する。

どうやら、距離を稼いだせいで最も足が早いスケルトンだけが先着したらしい。

その数、約二十。


「フンッ」


掛け声と共に踏み出す右足と右手を支点に孤を描き唸る三節棍。

ただ、その一つの動作で既に前方の七体はただの骨片に成り果てる。

その凄まじい武具が、左手に渡る。

身体をそのまま回転させ、再び棍は、右手に渡る。

左足で一歩踏み込むのと次のインパクトは、ほぼ同時。


最大半径、最大加速のセロニアスの三節棍二振りで、スケルトンの群れが粉砕された。

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