表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
68/171

希望のない現実

シャアリィの口から意外な言葉が出た。


「もし、ギルドマスターが言うように作り出された魔物・・・」

「つまり、人間だった記憶があるならば、あの魔物の本当の願いは何だろう」

「あの姿になることは合意の上だったのかな?」


アイシャが答える。


「戦いを避けられるかという意思を確認したい」

「そういうこと?」


シャアリィが前のめりになって首肯する。

しかし、アイシャも、ロートシルトも、それをきっぱり否定する。


「あなたはその目で見たでしょう、シャアリィ?」

「アレが戦い以外の何のために価値がある存在に見えた?」

「あの魔物は『少女だから見逃してやる』という意思表示をしただけ」

「私が、あそこで剣を抜いていたら、即戦闘開始」

「私達はたまたま幸運だっただけ」


ロートシルトも腕を組みながら否定的な意見だ。


「仮に戦わないなら、レリットランスをそのまま放置するということだろう」

「お前たちが最奥玄室に向かったことは皆、勘付いている」

「そして、お前たちが生きて戻ったということも」

「他の冒険者がそれをどう捉えるか」

「アイシャとシャアリィが挑まなくとも、他の冒険者はやるだろう」


シャアリィは、言葉の通じる相手と殺し合った経験がない。


「・・・そっか」

「やるしかないね」


命のやり取りをしなくても済むならば、その方法を模索したかっただけ。

でも、多分、あの魔物に残されているのは、武人としての誇りだけ。

人間に戻す方法などないだろうし、あの魔物の役割は決まってしまっている。


人間が作り出した魔物と、魔物によって魔人にされた自分。

そこに一つのシンパシーのような感情を持ってしまっただけ。


アイシャの言う通りだ。

この世界は理不尽でままならない。


「アイシャ、私達で勝てると思う?」


今のシャアリィでは、勝てない。

今の自分では、勝てない。

何を得れば勝てるのか、見当も付かない。


「否、絶好調で挑んだとしても、私達は敗北するだろう」


アイシャは冷静に、一考の余地もなく吐き捨てた。

ロートシルトは、その言葉を持って今日の会合の解散を決めた。

そして、情報開示の同意を二人に求める。


「どうにもならんことも、あるさ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ