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未踏の扉を目指して

今回ばかりは、何が起きるかわからない。

想定される危険度さえもが不明な扉を踏み越えるのだから。


未踏の先に待ち受けるモノが不明なうちには使えないと積み上げっ放しの魔石。

今のシャアリィは80レベルの大台に乗っている。

潜る前に新しいスキルをとっておくべきか、それとも・・・


「最奥の玄室は最悪の場合、一方通行だ」

「そこにいる魔物を駆逐しない限り帰れないことがある」

「だが、レリットランスは、その可能性は極めて低い」

「今回は、あくまで自分たちの耳目を使った偵察が最重要だ」


アイシャが提案したのは、出来る限りの情報を得ての離脱。

シャアリィが取るべきスキルを確認することに主眼を置いている。

アイシャも既に135レベルに到達しており、スキルの強化が出来る状態だ。

さすがに五百以上もガーゴイルを倒し続ければ、レベルも著しく上がる。


「とりあえずギルドに行って、あのクエストを私達が受けてしまおう」


シャアリィとアイシャにとって、それは既に決定事項だ。


「おや・・・その伝票は・・・」


カウンターの受付嬢は、予め申し合わせてあったように、応接室へと二人を通した。

そこにはギルドマスター、ロートシルトが待ち受けていた。

八十を超える老体でありながら、その卓越した四属性術式は健在とも言う。

しかし、既に引退してから三十年近くなり、見た目は完全に老耄(おいぼれ)だ。


「結局、お前たちじゃなきゃ無理だったということだな」


老魔術師の威厳の象徴、白く長い顎髭を純金の櫛で梳かしながら、二人を見据える。


「私達が失敗するまでは、ギルドと私達だけで情報を共有すること」

「それが条件」

「その代わり追加報酬はいらないし、ギルドの護衛も必要ない」

「他のパーティが勝手に突っ込んでも、私達は一切関知しない」

「横取りしたきゃ、好きにすればいいけれど、そうなれば当然、対人戦も辞さないよ」


ロートシルトは、うむ、うむ、と頷く。


「まぁ、出来る限り穏便にな」

「面倒事を減らすために、中層域掃除のクエストは増やしておこう」

「多少なりとも役に立つだろうて」

「で、突入の予定は?」


アイシャが簡潔に返答する。


「明日、午後からで時刻は未定」


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