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新しいパーティ募集

「日当銀貨100枚:他手当は相談に応じるが、魔石の分配はなし」

「中距離以上のスキル必須、各種術式、弩弓、長弓不問、但しレベル90以上クラス不問」

「ヒーラー完備」

「地獄のガーゴイル殲滅戦:パーティリーダー:アイシャ・セロニアス」

「ネームドキラーのシャアリィ・スノウも参加する今がチャンス」

「最奥アタック決行なし」

「命大事に安全第一」


安全なようでとんでもなく危険なメンバー募集伝票が掲示板に張り出された。

しかし、皆が掲示板を一度は確認する。

そして、小さな溜息を吐いて、掲示板の前を立ち去るのである。


それも当然、これは募集伝票に見せかけた『脅し』なのだから。

そもそもレベル90以上の中距離プレイヤーが限られている。

ガーゴイルを一撃で沈められなければ、相応の反撃を覚悟しなければならない。

日当が倍になった所で魔石の分配がなければ、のんびり街道キャラバン護衛をするほうが実入りもいい。


要するに、『てめえら邪魔すんなよ』


という、宣伝に他ならない。

ザックパーティの生き残りであるアレックスならば募集要件を満たしているが、待遇は最悪である。

踏破へのアタックもしなければ、魔石の分配もなし。

ザックパーティが欲しかったものが、何一つ、手に入らないのだから。


「おいおいアイシャ、この募集どういうつもりだ」


ちょっとネジの足りない脳まで筋肉で出来ているような冒険者がアイシャに突っかかる。


「魔石独占の上に近距離アタッカー排除だと?」

「迷宮はお前たちだけのモンじゃねえぞ」

「ちょっとくらい周囲に配慮ってのを見せねえとダメだろうが」


アイシャはそれを半笑いで片付ける。


「踏破したいのでしたら自分でパーティを集めればよろしいのでは?」

「魔石が欲しいなら、ギルドに納品する価格で売って差し上げますよ」

「千載一遇のチャンスに乗れないのは、これまでの冒険者人生が間違っていたのでは?」


おっさんがキレた。


「小娘が吠えやがって!」

「此処でカタ付けてやってもいいんだぜ?」


おっさんは、そのまま、すぐに駆け付けた衛兵に連行された。

シャアリィが上機嫌でアイシャを褒める。


「さすがは私の相棒」

「まぁ、パーティに参加されない方でもォ、現地に来てコソコソ魔石拾いしたいならどうぞォ」

「迷宮内だと、私昂ぶってしまって誤爆することもありますから、十分、お気をつけてね」


とんでもないことをさらっと言うシャアリィ。

コソ泥は撃ち殺すぞ、という威嚇付きだ。


「おい、ギルドマスターよ」

「こんな募集アリなのかよ、そのへんはっきりさせてくれよ」


パーティに参加出来ないと思われる冒険者が、矛先を冒険者ギルドに向ける。


「まぁ、まぁ、皆、冷静にね」

「私から言えることは一つ」

「冒険者なら、ぐだぐだ甘えるな!」


さすがはギルドマスター、強い方、役に立つ方の味方だ。


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