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対峙

山間の僅かに開けた空き地。

のそのそと巨大な二匹のツインヘッド・ワームがダンスパートナーのように並んでいる。


「あれが、私達の相手・・・千本足」


シャアリィは呆然と敵を眺めた。


「ああ、あんなに傷だらけにされて、追い立てられて、そして、今、私達に葬られようとしてる」

「可哀想だと思うかいシャアリィ?」


アイシャの言葉がシャアリィの胸にチクリと刺さった。


「そうだね、でも、そこはほら」

「弱・肉・強・食っていうやつだね・・・私達を倒して食うことだって奴らには出来る」

「だから、殺そうか」


アイシャが二匹のツインヘッドの間を駆け抜けながら、敵の機動力である無数に見えた足を確実に減らしてゆく。

その一本でさえ、己の身長に匹敵する凶器。

だが、今、この瞬間、生命の危険に晒されているのはどちらかといえばツインヘッド・ワーム達だろう。

千本とも言われた脚部は、ついに身体を支えるだけの数を下回った。

砂煙を上げながら、一つ頭のワームが右に傾き落ちながら、大蛇のように蜷局を撒いた。

それは弱点である腹部を隠す防御体制。

二つ頭は、その周囲を忙しなく不規則に動き廻る。


「なるほど、あんたらも一蓮托生ってわけだ」


一体、どんな時、シャアリィが頭に来るのか、アイシャにもまだよくわからない。

だが、シャアリィはどうやら二匹のツインヘッドに対して必要以上の加虐思考を持っている。


「どうせ片方は動けないんだから」

「私が動けない間は、同じようにアイシャも守ってくれるでしょ?」


シャアリィの言葉の意図は、少し時間を置いてアイシャに伝わった。


「ちょっと待て、全力砲撃するつもりか?」


チロっと舌を出してシャアリィが、高笑いしながら歌劇のように謳う。


「ええ、私の初めてを全部見せてあげるわ!」


如何わしい叫びと共にシャアリィのワンドに周囲の水分が吸い寄せられる。

小型の竜巻が砂塵と共に荒れ狂う魔法風!


「チャージ残り二十七秒!全力の一撃!」


竜巻同士がぶつかり閃光が走る中、アイシャはシャアリィの傍に控え二つ頭からの攻撃を裁かねばならない。


「おい、爪なら弾けるが、体当たりが来たらお陀仏だぞ!」


シャアリィは既にハイになっている。


「んなもん、知るかァ」

「虫けらのくせにイチャつきやがって、絶対に許さねぇ、絶対にだ!」

「あはッ、私はちゃんと冷静だよ、アイシャ!」

「開放まで十二秒!」


アイシャは、正直、半分、もう、どうにでもなれと思いながらも、放出までの長い十秒間を耐える。


「くっそ、考えなしに動きやがってぇ・・・え、えへ、えひゃ、ぐははははははは」

「おまえ、絶対に馬鹿だろォ、シャアリィイイイイイ!」


ついにアイシャの感情も決壊した、魔法風は既に山肌をも侵食しているのだ。

その中心にいたら笑うしかない。


「ぶっちぎれろ虫ケラぁらんらんらん!」


シャアリィのワンドから迸る魔力は瞬時に凍結を始め、放出された魔力に周囲の圧縮された大気が流れ込む。

正真正銘シャアリィの最大出力フローズン・キャノンは、二匹のツインヘッド・ワームを貫いて尚、直進性を失わない。


「まじか」


自分達の周囲に荒れ狂う破壊の中心で、アイシャとシャアリィはへたり込んだ。


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