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真相

千本足の住処は、迷宮街からかなり離れた山間部の中腹にあった。

本来、懸賞金が掛かっている相手というのは、排除しなければならない危険な存在のはず。

或いは、その相手に相当な怨恨があり、金を注ぎ込んででも排除したい存在か。

甚大な被害を出した魔物というわけでもなく、明確な危険性が示されてもいないのに、金貨100枚という懸賞金の額は、少々、異常だ。


ギルドでそれを尋ねたところ、奥の応接室に通され、副所長のフォンス氏が説明をしてくれた。


「最近、めっきり噂のお二人がアレに興味を持ってくれて嬉しい限りです」

「他の冒険者の方にはお話したことはありませんが、あなた達ならお話しましょう」

「ここからのお話は、他言無用で願いますよ」


・・・


「単純に言えば不安・・・だからですよ」

「もう、百年以上前から、あの辺りに住み着いているのはわかっています」

「別にあの場所から急に移動するわけでもなければ、大量の動物を襲って食べるわけでもありません」


「でも、あなたがたには、アレが一体何なのかわかりますか?」

「虫のようでありながら、あまりにも大きく、そして長寿」

「もし、アレが人々を襲うようになったら、誰が責任を負うのですか?」

「そして、そうならないと誰が責任を負えるのですか?」


「全て杞憂かも知れません」

「ただ、あそこでのんびりと生きているだけかもしれません」


「これは言うならば、人間のエゴです」

「自分たちが理解出来ないから、近くにいてほしくないというだけの」

「安心を買う金額が、金貨100枚」

「この迷宮街に関連して生計を立てている人間が、十万人」

「それらの人々が安心を手にいれる金」

「なんて言えば、ほっこり話で終わるとこですが、私は根っからの嫌な人間なので真実を暴露しましょう」


シャアリィが欠伸を我慢できなくなった頃合い、ちょうど面白い話が聞けそうだ、と思った。


「いわゆる街興しの一つなんですわ」

「めちゃめちゃタフで、でっかいイキモノがいて、それを倒したら金貨100枚って」

「冒険者続けてて、思ってたのと違う、とか、嫌になっちゃったくらいのおじさん達、いるでしょ」

「それとか、家業がなきゃ自分も冒険者とかやってたのになぁ、っていう類の人」

「そういう人達でも、皆で集まって頑張ればなんとかなりそうな企画かな、と」

「そうだったんだけど、実際は、タフ過ぎて、デカ過ぎて、こんなもの倒すとか無理だろうってね」


アイシャは容赦なく、吹き出した。


「謎生物を街興しに利用しようとしたけれど、全然、上手くいかないまま百年過ぎて殆どの人が忘れてる、と」

「その間に迷宮の街としてレリットランスは景気が良くなって、千本足なんてどうでもよくなっちゃった、と」


フォンスは禿頭をシルクのハンカチで拭きながら、此処だけの話にしといて下さいね、と、二人に念を押した。

二人はニヤニヤしながら、フォンスに尋ねる。


「アレ、倒しちゃってもいいんでしょ?」

「もし、私達が倒したら、多分、めっちゃ盛り上がるよ!」


フォンスは満面の笑みで答える。


「ええ、私達にも、あなた達にも利益がある良い話です」

「ネームドキラーの栄誉と100枚の金貨、是非、挑戦して下さい」


シャアリィとアイシャの千本足攻略がこうして始まった。


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