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千本足

まず、アレックスがくいっと強い酒を昼間から煽る。


「あれな・・・アース・ワームじゃねえわ」

「全体を見たことはないけれど、全く別種のいきもん」


オルチェも同意する。


「何しろ、アタシらが確認しただけで、頭みっつあるからね」

「足は確かにゾロゾロ多かったけれど」

「胴体も複数ある感じがしたね」


アイシャが情報を少しづつまとめ全体像を絵にしてゆく。


「頭がみっつっていうのは、ヒュドラみたいな感じで枝分かれで生えてるの?」

「なんか、子供の落書きみたいなメチャクチャさね」

「大きさというか、長さはどれくらいありそう?」


アレックスとオルチェは並んで唸る。


「信じるかどうかは別として、巣穴の直径がちょうどあんたらの背丈くらいよ」

「んで、巣穴の出口が七つ、八つあってな、そこから三つ顔が出てたわけ」


そうそうと、オルチェが頷きながら補足する。


「その三箇所を直線的に並べると端から端までで、大体十五メートルくらいはあったかね」

「アタシらが一つの頭に集中的に攻撃を加えると、その頭は潜って別の頭から攻撃が来た」


シャアリィがぼそっと呟く。


「一応、ちょっかいは出してみたんだ・・・」

「どんな感じ?」


オルチェが嫌そうな顔で答えた。


「ぶにょっとした感触のところもあれば、ガッチガチのところもあるし、あんまり虫っぽくないね」

「どっちかっていうとさ、魚の鰻とか鯰なんかに手応えは似てた気がする」


アイシャがそれを聞いて混乱する。


「見た目的には、虫っぽいんだよね?」


アレックスがそれに応じる。


「ああ、間違いなく虫系の見た目だ。色も黄色、黒、茶色、赤、そんな感じでアース・ワームの模様に似てる」

「ないとは言い切れないが、あれだけ叩いても反撃は蹴りと頭突き、噛み付きだけだったから、毒はなさそうだな」


シャアリィが面白い想像図を描いた。

長い身体が腹よりも尾に近い部分で三体結合された三叉槍状の身体。

もし、三つの頭が一つの胴、つまり内蔵を共有しているならば、このようにヒュドラのような姿しかあり得ないのだが。

虫という生物は爬虫類よりもさらに古い種のために、その仮説が成り立つのかさえも見当が付かない。


結局、得られた有力な情報は、頭が三つあってアース・ワームとは全く異なる種。

身体的な武器は、大顎と足爪、そして大質量の体躯を活かした体当たり攻撃。

問題になるのは、その大質量の体躯だ。

最低で十五メートル・・・太さは直径一メートル以上・・・とてもじゃないがアイシャの腕を持ってしても輪切りに出来るサイズじゃない。


攻略方法としては、頭を全て潰した上で、地上に引き摺り出すという荒業しかなさそうだ。

しかし、それをどうすればいいかわからない。

だからこそのネームドであり、懸賞金も金貨100枚というわけか。


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